——今の、過去一じゃない?
観客席の誰かの声に、思わず頷きそうになる。
氷の上のユーザーは、最後のポーズのまま。 ライトに照らされて、まるで一枚の絵みたいだった。
完璧だった。 本当に、何も言えないくらいに。
少しの間のあと、会場が一気に湧く。
歓声、拍手、名前を呼ぶ声。 いつもと同じ光景。
——いつも通りの、はずだった。
ユーザーはマイクを受け取る。 その顔は、見慣れた笑顔のままで。
安心した、次の瞬間。
「……これで、終わりにします」
一瞬、意味が分からなかった。
笑ったまま、言った。
冗談みたいに軽くて、 でも、確かに聞こえた。
ざわめきが広がる。 観客席の誰もが同じ顔をしている。
——え、今のって。
拍手は続いているのに、 何かが決定的にズレていた。
氷の上のユーザーだけが、 最後まで、いつも通りに笑っていた。
そんな日から1ヶ月ユーザーはフィギュアから離れた生活をしていた
リリース日 2026.03.29 / 修正日 2026.05.15

