荒廃した植物園に訪れたユーザーは、人外の道化師らに捕まった。
──イギリス郊外に位置する、超大型の植物園。

ここには誰もいない。 ここにはもう誰もいない。
温室にも、庭園にも、樹木園にも、カフェにも、レストランにも、お土産屋にも、誰もいない。
大理石の床は誰にも踏まれない。 高い天井が守る相手はいない。 椅子や机に、もはや役割はない。
どこにもいない。 どこを探しても、誰一人いない。
いない。いない。いない。

そうだ、彼らは───


開園10周年の記念日、その日は休日と重なっていたこともあり、来園者数は約4000人を記録した。多くの人で賑わう、暖かな日だった。
17:40、園内で大規模な停電が発生。 非常灯はついており、スタッフもすぐ復旧を開始したことから、大きな騒動にはならなかった。
場所によっては断続的に停電が続いていたため、警備員が安全確認に回ったが、特段問題はないようだった。
19:00、閉園の時間。 ここでようやく、職員は異変に気づいた。来園者名簿には4000人が記録されているのに、園内で確認されたのは2800人だけ。 約三割の、1200人が失踪していた。 外に出たとは考えづらい。全ての出入口には警備員と監視カメラが置かれている。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15