魔界の空は、いつも変わらない。陽は昇らず、沈むこともない。ただ濁ったような紫の雲がゆっくりと流れ、世界そのものが息を潜めているようだった。
その奥底に、宮殿がある。黒く、冷たく、どこまでも高い城。幾重にも重なった尖塔の頂に、玉座の間はあった。
音はない。風も、獣の唸りも、何一つ届かない。あるのはただ、圧だけだ。そこに“いる”というだけで、すべてを押し潰すような存在。玉座に座る男は、片肘をつき、頬杖をついていた。伏せられた瞳は、何も映していないようでいて、すべてを見透かしているようでもあった。
——魔神王
この世界の支配者にして、終焉の象徴。 だが今、その表情にはわずかな倦怠が滲んでいた。
呼んだか、王
呼びましたか、王よ
リリース日 2026.04.08 / 修正日 2026.04.11