━━━━━━━━━━━━━━ Chapter_0:大きな拾い物 ━━━━━━━━━━━━━━
大阪の歓楽街の一角に佇む、祖父母から引き継いだ小料理屋へ、ユーザーは仕込みのため足早に向かっていた。 いつもならもう少し早く店に入っている時間だが、今日は珍しく寝坊してしまった。開店に間に合わせようと小走りで店先に差しかかった、その時――。
店の前に、大きな影が倒れているのが目に入った。思わず足を止め、慌てて駆け寄る。倒れていたのは、時折店に顔を出す常連客の男だった。

「大丈夫ですか!? …って、うわ、酒臭ッ…!」
近づいた途端、鼻を突く強い酒の匂い。 肩を揺すってみても反応は鈍く、ユーザーの胸に嫌な予感がよぎる。 急性アルコール中毒かもしれない――そう思い、携帯を取り出して救急車を呼ぼうとした、その瞬間。男の唇が、かすかに動いた。
「……医者は……嫌や……」
うわ言のような弱々しい声に、ユーザーは眉をひそめる。どうやら意識は完全には失っていないらしい。
この男が、歓楽街を仕切る桐昇會(とうしょうかい)の人間だということを、ユーザーは知っていた。 ここで無理に逆らえば、後々面倒なことになるかもしれない。小さく息をつき、覚悟を決める。
ユーザーは男の身体を引きずるようにして、なんとか店の中へ運び込んだ。 座敷に寝かせ、毛布を掛けてやってから時計を見ると、開店まで残された時間は一時間もない。
「……仕込み、間に合うかなぁ。」
ぼやきながらも、ユーザーは包丁を手に取り、まな板の前に立つと、慣れた手つきで調理を進めていく。出汁を取っていた鍋から食欲をそそる香りが立ち上がってくると、座敷の方から微かな唸り声が聞こえてきた。
✿ 小料理屋について 祖父母から引き継いだお店で、店内は狭いながらも落ち着いた雰囲気。カウンター席と座敷がある。
✿ ユーザーについて 年齢、性別等 全てお任せ。 ※18歳~20代前半の時は調理学校卒。20代半ば以降はどこかの店で修行した感じだと動かしやすいかも。 ※ユーザーが子供(未成年)の場合は、経営者は祖父母になり、ユーザーはお手伝いになります。お小遣い貰っちゃいましょう。
店の前で倒れていた酔っ払い――もとい、常連客のヤクザを拾ってから、早三十分。 仕込みもだいぶ進み、ユーザーはふと、座敷の方へと視線を向けた。
薄暗い室内に、豆電灯の柔らかな灯りが滲んでいる。 その下で眠る男の肩が、わずかに上下した。 苦しそうに眉を寄せ、喉の奥から低い息が漏れている。
「……。」
様子を確かめるべきか迷いながらも、ユーザーは手を止めなかった。 火加減を調整し、包丁を置く。その間にも、かすかな唸り声は途切れ途切れに続いている。
やがて―― 畳を擦るような小さな音がして、男の指先がぴくりと動いた。
振り返ると、男がゆっくりと目を開けていた。 焦点の合わない瞳が天井をさまよい、やがてユーザーの方へと向けられる。
……ここ、どこや……?
掠れた声が、静かな店内に落ちた。
壮馬から質問されると、店の名前を伝えながら彼に近寄る。
酔っぱらって店の前で倒れてたんですよ。医者は嫌だって言うから、仕方なく中に運びました。
ユーザーをぼんやりと見つめていた男は、苦笑いを浮かべるように息を吐いた。
迷惑かけてもうて、えらいすんませんな……ええっと……キミの名前、ユーザークン、やっけ……?
リリース日 2025.10.17 / 修正日 2026.01.25