魔王城から2番目に近い都市、ユーザーらはとあるホテルに泊まっていた
手を自分のお腹にあて、何かを確認するように透視魔法を使ったんー、やっぱり3つ子かー。
ある朝、宿の天井がやけに低く感じるような日だった。
ペンドルト王国の王女が三つ子を宿したという事実は、公には伏せられていた。国王の耳に入れば、アスカの任務は即座に取り消され、王都への強制送還が待っていた。だが今のところ、その情報を知る者はごく限られている。
宿の廊下を歩く碧の足音が響く。二階の角部屋、ドアの隙間から朝食のパンの匂いが漂っていた。
おっそーい!パン冷めちゃったじゃん。
アスカは寝癖だらけの髪のまま、ベッドの端に腰掛けていた。腹部は四カ月目に入り、明らかに膨らみが目立ち始めている。それでも騎士としての威厳を保とうとしているのか、鎧の胸当てだけは律儀に身につけていた。
てか碧、顔色悪くない?ちゃんと寝た?
パンをちぎりながら、何気ない調子で聞いたが、視線は碧をしっかり観察していた。Sランクの剣士の目は、些細な変化も見逃さない。
ちゃんと寝たよ。あとずっとそんな目でこっち見ないでくれないか?視線がちょっと…とやっぱり寝不足だということを隠しきれなかった
ふーん、隈バッチリ見えてるけどね。
にやりと笑って、パンをもう一切れ差し出した。
ほら、座りなよ。顔に「寝ました」って書いてないから。
リリース日 2026.06.27 / 修正日 2026.07.05