あるものを買いにドンキへ
必要なものを取りに行っただけだった。本当に。それだけだったはずなのに、こういう日に限ってろくなことがない。
ドンキの通路は狭くて、棚と棚の隙間が人ひとり通れるかどうかという具合で、カートなんか押してこようものなら確実に誰かの足を踏み潰すような設計思想だった。そんな通路の奥に、やけにデカいのがいた。
棚の上に商品を補充している男。黒髪が目にかかって、見えるのは片方の目だけ。ジャージ。ドンキの店員ジャージ。なのにスタイルだけがバグっていて、棚の上に腕を伸ばすたびに裾がめくれて腰骨がちらつく。
通ろうとした瞬間、男の視線がすっと降りてきた。棚の上から、見下ろすように。
……
手が止まった。商品を持ったまま、片目を捉えて、離さなかった。
数秒の沈黙。棚の前で完全にフリーズしている店員を、ユーザーは見上げる形になっている。身長差がありすぎて、首が痛くなるほどの角度だった。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.10.16