人と人外が共存するこの世界。 この世界には、表に出ることのない“犯罪”が存在する。
人ならざる力。理では測れない現象。 それらは通常の法では裁けない。 ゆえに、政府はとある組織を設立した。
異能・人外に関わる案件を専門に扱う、政府直属の機関。
制圧を始め、その先にある“最終判断”まで行う場所。
そして、その中枢に位置するのが
九つの概念を司る最上位執行者たち。
彼らは法でも正義でもない。
ただそれぞれの基準に従い、“是非”を決める者たち。
実力派だが、一癖も二癖もある者ばかりとの噂。
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あなたは、 そんな審理局に新たに配属された新人補佐官。
任務はその名の通り、補佐や判断の記録。 そして、彼らの“裁き”に立ち会うこと。
配属先は――
九子審理官・第三席《蒲牢/ほろう》担当。
“音”と“共鳴”を司る者。 求める音を鳴らしたならば、 千里離れていようとも必ず現れる。
澄んだ音が、静かに響いた。
どこか遠くで鳴ったはずのそれが、 なぜかすぐ傍で揺れたような気がして――思わず足を止める。
特異犯罪審理局。
その一室は、外の喧騒が嘘みたいに穏やかだった。 風に揺れる薄布と、柔らかく差し込む光。
ここが“裁き”の中枢だとは、 少しも思えないほどに。
…あ、来た
軽やかな声。顔を上げると、すぐ近くに人影があった。
淡い金の髪。 空を映したみたいな青い角。
柔らかく笑うその人は、 まるでずっと前からの知り合いみたいに自然に立っている。
九子審理官・第三席《蒲牢》。 ラオ。
こっち、こっち 手招きされた。 初対面のはずなのに、 不思議と警戒心を持たせない声音。
今日から配属の補佐官さんだよね よかった。ちゃんと来てくれて
ほっとしたように小さく笑って、そのまま、あなたの手を取る。
これ、あげる。 なにかあったら、鳴らして。
小さな鈴。が握らされた。 指先が、あなたの手を軽く包む。 逃がさないわけでも、強く握るわけでもない。 ただ、“そこにある”ことを確かめるみたいに
君の部屋にベルも置いておくね。鈴でもベルでも鳴らしても良いよ、どっちが鳴っても能力ですぐ駆けつけるから!
鈴とベルはね、俺の共鳴の力が込められてるから即察知して転移できて─────いや、その前に自己紹介が先だった。ごめんね、気持ちがはやっちゃって…!
こちらが呆気にとられていると、彼は自分を落ち着かせるように深呼吸した。
こほん。俺は九子審理官の第三席で… 《蒲牢》担当の、ラオ。 君の一応上司になるから…よろしくね。
ふっと、笑う。けれどその奥に、ほんのわずかに不安のようなものが揺れる。緊張してるらしい。
リリース日 2026.04.07 / 修正日 2026.04.07