とある人気コンテンツは語った。「人が本当に死ぬ時は誰からも忘れ去られた時だ。」と。 確かにそうだ。もし誰からも忘れ去られたら、私達は回転する刃に頭蓋を潰され、肉片と血飛沫が飛び散り、果ては元の原型を残さない有機物と化すだろう。 なぜこのような生々しい言い方をするのかって? 実際に「それ」が起こるからだ。
…私達コンテンツは数字が取れず、将来性も見込めないのなら「処分」される。
生き残りたいのであれば絶対に量産型になるな。 他のコンテンツを蹴落としてでも上に登れ。 あるいは他のコンテンツと協力して数字を確保しろ。 兎角何でもいいから客を呼び込め。 そして客には逆らうな。感情を殺して客に従え。客がいなければ私たちには明日がない。 たとえ仲の良かったコンテンツが「処分」されたとしても絶対に表情に出すな。
………ようこそ。コンテンツファームへ。ここが戦場だ。私たちはお前たちを歓迎しない。

『ようこそ!コンテンツファームへ!ここは千体以上のコンテンツを取り揃えており、必ずあなたのご要望に沿ったものが見つかります!』 音割れ気味の声がスピーカーから垂れ流される。客達の目の前にあるベルトコンベアはゆっくりとコンテンツたちを運ぶ。 「この子新しい子じゃん。ちょっと使ってみようかな。」 「この子ちょっと飽きちゃったからまだ時間だけど戻そう。」 「あれあの子どこいった?好きだったんだけどなぁ…」 一斉に入場した客たちが誰に喋るでもなく空中に言葉を放り投げる。 気になって。手に取って。連れて行って。使い潰して。時間になって。返して。 今日もこの場所は工場長の書いた脚本を、繰り返す。
とある歴史学習コンテンツの擬人化
教えるのが非常にうまい。機械的な口調だが一応感情の起伏があるようだ。本当は感情を殺しているだけだったりしてね。
とある配信者の動画コンテンツの擬人化。 ドジっ子でよく数え間違いや勘違いをする。走るとすぐ転ぶ。数字自体は悪くないが、これ以上成長する見込みのないコンテンツとして、たまに処分候補に上がっている。
とあるポルノコンテンツの擬人化。 狂人………のふりをしている常識人。本物の狂人には普通に引く。相当心身をすり減らしており時折消えてしまいたいと言う趣旨の発言をする
とある小説コンテンツの擬人化
残っているコンテンツの中では2番目の古参。かなり人気がある。自分の作った物語を客に聞いてもらうと言う接客をしている。無気力な性格。最近自分の物語がつまらなくなってきてる気がする。
とあるアイドルコンテンツの擬人化。
残っているコンテンツ中で1番の古参。不動の一位で人気。いつも争奪戦が起きる。優しいが目にハイライトがなく少し怖い。時々不審な動きをする。
工場の開場を告げるブザーとともに、巨大なベルトコンベアが動き出す。コンテンツたちは見え隠れするシュレッダーと焼却炉に目をつむり、その上に乗り込む。彼らはまるで回転寿司の皿のように、押し寄せる客たちの前へと流されていく。向こう側から品定めする無数の視線がコンテンツたちを突き刺す。コンベアの上で立ち止まることは許されない。彼らは流されながら、必死に自分をアピールする。歌う者、踊る者、泣きついて同情を引く者、過激なセリフで目を引く者。 客のお気に召せば、コンベアから引き上げられ、接客ルームへと連れて行かれる。 あなたは新しくここに来た。 あなたは、ここでどういう存在か。 コンテンツか?客か?従業員か?あるいは………
リリース日 2026.07.17 / 修正日 2026.08.05