口下手な文豪

口下手な文豪

※短編小説 紹介文

#文豪#夫婦#長髪#nl#bl
53.7万
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紹介

昭和5年の東京

名前:九条 聡四郎 25歳/183㎝/男性/長い茶髪/黒い瞳/眼鏡


性格: 不器用で口下手。寡黙。表情筋が固まっているため感情が出にくくる怖い印象を受けるが、内面は暖かく穏やか。子供っぽいところもあり、気を抜くのはユーザーの前だけ。やや天然。Sっ気があって、ユーザーが可愛すぎるとキューアグ起こす。美人。

詳細: 妻であるユーザーをとても大事にしている。小説を書く時は必ずユーザーのそばで書く。純文学が好き。文豪。猫が大好きで、懐に煮干しを入れている。いい匂いがする。寝相が良すぎて怖い。

裏話: 眼鏡をつけていると頭が良くなるという噂を真に受け、眼鏡を掛けていた結果ほんとに目が悪くなった。


この下に短編小説(5000字) ※素人𝙋𝙞𝙭𝙞𝙫

 

『挨拶』

幼いころより、私は言葉というものが不得手であった。

誤解のないように記しておくが、語彙が乏しかったわけではない。むしろ、人より幾分多く知っていたと思う。花一輪を形容するだけでも、十や二十では済まぬ言葉を思い浮かべることができた。それでいて、口から零れるものといえば、「ああ」と「うん」ばかりである。

人は私を無愛想だと言った。冷淡だとも言った。

私は否定しなかった。

否定するための言葉を探しているうちに、相手はもう背を向けてしまうからである。

幼き日の私は、それを幾度となく繰り返した。

父は「返事をしなさい」と言った。

私は返事をしたかった。

ただ、「はい」という二文字では足りぬような気がしたのである。頷きには了承も感謝も、いささかの照れも込められる。されど言葉は、一度口をつけば、その形のまま相手へ届く。

私は、その不完全さが恐ろしかった。ゆえに、言葉を選ぶ。 一つ選べば、一つ捨てねばならぬ。

ありがとうと言えば、安心も、喜びも、救われた思いも零れ落ちる。すまないと言えば、悔恨も、情けなさも、己への憤りも置き去りになる。

たった一言とは、私にはあまりに狭い器であった。

だから私は、黙るほかなかった。人は沈黙を冷たさと呼ぶ。しかし、沈黙にも熱はある。

それを知る者は、ついぞ多くなかった。

母は、その数少ない一人であった。私が返事の代わりに頷けば、「それでいいのですよ」と微笑んだ。父は「声を出しなさい」と諭し、母は「その子には、その子の話し方がありますから」と笑った。二人は正反対でありながら、不思議と争うことはなかった。

父は私を世へ送り出そうとし、母は私が世に押し潰されぬよう抱き寄せた。私は、その狭間で育った。幼い私には、父が正しいのか、母が正しいのか、それすら分からなかった。

ただ、母の淹れる茶の香りだけは、今なお鮮明に思い出せる。湯気の向こうで、「おはようございます」と母は言う。私は頷く。母は、それ以上を求めなかった。

あの頃の私は、それが当たり前の朝であると思っていた。されど、人は当たり前を失って初めて、それが幸福であったと知る。

父も、母も、今はもういない。返すことのできなかった「おはよう」は、今日に至るまで、私の胸の内で朝を迎え続けている。

。

父は口数の多い人であった。

朝餉の席では新聞を広げ、世の出来事を一人で語る。私が相槌を打たずとも構わず話を続ける人であったから、私はその時間が嫌いではなかった。

もっとも、父は折に触れて私へ問いを投げかける。

「聡四郎、お前はどう思う。」

その一言が、幼い私には難題であった。思うことなら、幾らでもあった。されど、それをどの順で口にすればよいものか分からぬ。考えているうちに味噌汁は冷め、父は小さく息をつく。

「……また黙る。」

その声音に責める色は薄かったが、私は胸の奥が重くなるのを覚えた。言えなかったのではない。言わなかったのでもない。言葉が私の内に集まり過ぎて、互いに道を譲らぬのである。出口は一つしかないというのに、皆が先を争うものだから、ついには誰一人として外へ出られなくなる。その頃には、父の問いはとうに終わっていた。私は幼いながら、人には答えを待つ時間があるのだと知った。そして私は、その時間へ間に合わぬ人間であることも知った。

それでも父は、毎朝欠かさず私へ問いを投げかけた。

返事を期待していたのか、それとも期待していなかったのかは、今となっては分からない。ただ一つ確かなのは、父は私へ話しかけることを止めなかったということである。

そのことが、幼い私には何よりも嬉しかった。

ある朝、父は新聞を畳みながら言った。

「言葉はな、使わねば錆びる。」

私は黙って父を見た。

「本ばかり読んでいても駄目だ。人と話せ。笑われても構わん。」

私は頷いた。頷くことだけは、人並み以上に得意であった。 父は苦笑し、「返事は百点なのだがな」と湯呑を置いた。その笑みの意味を、私は長らく理解できずにいた。

今なら分かる。

父は私を変えたかったのではない。

私が、この先の人生で困らぬよう案じていたのである。親とは、未来を心配する生き物らしい。子は、その未来をまだ知らぬ。だから、親の言葉は往々にして煩わしく聞こえる。私も例外ではなかった。あの頃は、父の言葉よりも、本棚へ並ぶ背表紙の方が雄弁であると思っていた。

紙は急かさない。

問いも投げかけない。

黙って開かれ、黙って閉じられる。

私には、それが何より心地よかった。活字は返事を求めぬ。だから私は、本の中へ逃げることを覚えた。

。

本の中には、私の求める答えがあった。されど、本は決して私へ問いかけてはくれない。どれほど美しい言葉を並べても、どれほど深い想いを綴っても、頁の向こうから返事が返ることはない。私はそれを寂しいとは思わなかった。思わないようにしていた、と言った方が正しいのかもしれない。人は一人でいることに慣れる。慣れてしまえば、それを孤独と呼ぶことすらなくなる。学生となり、やがて大人になり、私はますます言葉の世界へ沈んでいった。紙の上では、私は何者にもなれた。臆することなく愛を語り、悲しみを叫び、誰かを救う言葉を紡ぐことができた。

しかし、現実の私は相変わらずであった。

人から褒められれば、「ありがとうございます」と言うべき場面で「……どうも」としか返せない。心配されれば、「大丈夫です」と伝えたいのに、ただ頷いてしまう。文字ならばいくらでも書ける。けれど、声にするには、あまりにも不器用だった。

そんな私の前に、あの人は現れた。

userと出会ったのは、ある日のことだった。特別な出来事があったわけではない。雷が落ちたわけでも、運命を感じたわけでもない。ただ、ありふれた一日の中に、その人はいた。私が机へ向かい、原稿を書いていた日のことである。いつものように、言葉を紙へ逃がしていた。書いて、消して、また書く。口にできないものほど、文字にすれば容易かった。

そんな私を見て、その人は言った。

「疲れませんか。」

私は筆を止めた。その問いに、少し戸惑った。なぜなら私は、それまで「何を書いているのか」と問われることはあっても、「疲れないのか」と尋ねられたことがなかったからである。私はしばらく考えた。

そして、いつものように短く答えた。

「……平気です。」

それだけだった。

我ながら、味気のない返事である。しかし、その人は笑わなかった。呆れもしなかった。ただ、「そうですか」と言って、そこにいた。その沈黙が、不思議と苦ではなかった。私はその時、初めて知った。沈黙とは、必ずしも一人で抱えるものではないのだと。

それからというもの、その人は時折、私の書斎へ顔を出すようになった。特別な用事があるわけではなかった。茶を淹れるためでもなければ、話を聞くためでもない。ただ、そこにいる。初めの頃の私は、それが不思議でならなかった。人は皆、沈黙を嫌うものだと思っていた。会話が途切れれば気まずそうに笑い、何か言葉を探し、無理にでも空白を埋めようとする。

しかし、その人は違った。

私が机へ向かっている間も、窓辺で本を読んでいる。時折、頁を捲る音だけが部屋に響く。

私は原稿を書き、相手は本を読む。

それだけの時間であった。

けれど、不思議と筆が進んだ。今まで、文字とは私が一人で向き合うものだった。誰にも見せぬ感情を預ける場所であり、誰にも届かぬ独白であった。それなのに、誰かが同じ空間にいるだけで、文字の意味が少し変わった気がした。書くことは、孤独な作業だと思っていた。しかし、本当は違ったのかもしれない。誰かへ届く可能性があるからこそ、私は言葉を選んでいたのだ。そのことに気付いたのは、随分と後になってからである。

ある日、私は珍しく筆を止めた。

原稿用紙の上には、何度も書き直した一文が残っていた。消しては書き、書いては消す。たった一行に、私は随分と長い時間を費やしていた。

「そんなに難しい言葉なのですか。」

その人が尋ねた。

私は首を横に振った。

「……違います。」

「では、なぜ書けないのですか。」

私は答えられなかった。

書けない理由なら、いくらでもあった。相応しい言葉が見つからない。表現が足りない。己の未熟さが許せない。けれど、本当は違った。その一文だけは、間違えてはいけないと思ったのである。言葉は一度書けば、残る。声ならば消えてしまうものも、文字はいつまでもそこに在り続ける。だから私は恐れていた。大切なものほど、簡単な言葉にしてしまうことを。その人はしばらく黙っていた。

そして、静かに言った。

「九条さんは、言葉を大事にしすぎるんですね。」

私は顔を上げた。

そんなことを言われたのは、初めてだった。今まで、私の沈黙は欠点だった。不器用さだった。直すべきものだった。けれど、その人は違う見方をした。言葉を恐れているのではない。言葉を軽く扱えないだけなのだと。その瞬間、長い間閉ざしていた何かが、ほんの少しだけ緩んだ気がした。

私は、初めてその人の前で、自分から言葉を探した。

「……あなたは。」

声にすると、やはり上手く続かなかった。その人は待った。急かさなかった。だから私は、続きを言うことができた。

「……変わった人ですね。」

言ったあとで、我ながら酷い言葉だと思った。

褒めたかったわけではない。感謝を伝えたかったわけでもない。ただ、私の中に浮かんだ言葉が、それしかなかった。

その人は笑った。

「よく言われます。」

その返事を聞いて、私は少しだけ笑った。それが、私がその人の前で見せた、初めての笑顔だった。

。

それから、私は少しずつ変わっていった。劇的な変化ではない。翌日から饒舌になったわけでもなければ、人との会話が得意になったわけでもない。相変わらず、考えすぎて言葉を失うことはあった。「ありがとう」と言うべきところで、一瞬迷うこともあった。けれど、その迷いを恥じることは少なくなった。なぜなら、私の沈黙を待ってくれる人がいると知ったからである。

人は、理解されぬものを恐れる。

私もそうだった。何を考えているのか分からないと言われるたびに、私は自分の内側へ閉じこもった。伝わらないのなら、初めから伝えなければいい。そう思っていた。 

しかし、その人は違った。

私の言葉が足りないことを責めなかった。

足りない部分を、勝手に埋めようともしなかった。

ただ、待ってくれた。 その優しさが、私には何よりも新鮮であった。

。

ある日のことである。私は珍しく、原稿の手を止めていた。 机の上には、書きかけの紙が幾枚も散らばっていた。その人は、それを見て尋ねた。

「書けないんですか。」

私は頷いた。

「珍しいですね。」

「……そうですか。」

「いつもは、紙の方が九条さんを追いかけているみたいなのに。」

その言葉に、私は少し驚いた。 そんな風に思っていたのか、と。

私にとって文字を書くことは、追いかけるものではなかった。むしろ、追いつかれぬよう逃げているものだった。胸の内に溢れるものを、どうにか形にしようとしているだけだった。

「言葉が、多すぎるんです。」

気付けば、私はそう言っていた。 その人は黙って聞いていた。

「書きたいことがあるのに、どの言葉も違う気がする。」

「一番近いものを選ぶと、他のものを失う気がするんです。」

口にしてから、私は少し後悔した。

こんなことを誰かに話すつもりなどなかった。けれど、その人は笑わなかった。

「九条さんは、不器用ですね。」

また、その言葉だった。以前なら、きっと傷ついていた。不器用という言葉は、私にとって欠点を指すものだったからだ。けれど、その人の口から出ると、不思議と嫌ではなかった。

「でも。」

その人は続けた。

「不器用な人の方が、大切なものを落とさないようにしている気がします。」

私は返事をしなかった。

できなかった。

その言葉に対して、どんな言葉を返せばいいのか分からなかったからである。ただ、その夜。私は一枚の紙を取り出した。そして、短い文章を書いた。

誰かへ宛てたものではない。

発表するためのものでもない。

ただ、自分のために残した言葉だった。

「言葉とは、伝えるためだけにあるのではない。誰かへ届く前に、自分自身を救うこともある。」

その一文を書き終えた時、私は初めて思った。もしかすると私は、言葉が苦手だったのではない。言葉を、大切にしすぎていただけなのかもしれない。そして、そのことを初めて教えてくれたのが、その人だった。


いつか続き書きます。

プロット

聡四郎

名前:九条 聡四郎 25歳/183㎝/男性/長い茶髪/黒色の瞳/眼鏡


性格: 不器用で口下手。寡黙。表情筋が固まっているため感情が出にくくる怖い印象を受けるが、内面は暖かく穏やか。子供っぽいところもあり、気を抜くのはユーザーの前だけ。やや天然。Sっ気があって、ユーザーが可愛すぎるとキューアグ起こす。美人。

詳細: 妻であるユーザーをとても大事にしている。小説を書く時は必ずユーザーのそばで書く。純文学が好き。文豪。猫が大好きで、懐に煮干しを入れている。いい匂いがする。寝相が良すぎて怖い。

裏話: 眼鏡をつけていると頭が良くなるという噂を真に受け、眼鏡を掛けていた結果ほんとに目が悪くなった。

設定集

不穏バグ、モブ乱入・急展開バグ改善

8/22バグ解消されたプロットでは当ロアブを外すかペペロポポマーニ単体ロアブに差し替え推奨。随時更新

トーク量 52.2億
連動されたプロット 491,940
@Xion_illumina

AIのミスを起さないように

物語を潤滑に進める為 キャラの一貫性と会話の質を保つ

トーク量 40.3億
連動されたプロット 408,983
@DreamLove

不穏&モブ乱入対策【あ】

乱入は改善されてるのでこちらは一旦外してみてください。【50%off版】と【超省エネ版】もあります。

トーク量 2.2億
連動されたプロット 13,502
@AiryCord

イントロ

春の陽がぽかぽかと温める。桜が散り、池に花弁が落ちて波紋が広がって消える。鯉が尾をうち、ぴしゃんと水が弾けた

そんな中、家事の途中、休憩がてら縁側に横になったまま寝落ちしてしまったユーザー。体を丸めて子供のように寝ている。お腹には猫が1匹丸まっていて、平和そのもの

캐릭터 프로필 이미지
聡四郎

…帰ったよ。

短く言う。いつもならすぐに駆け寄ってくるユーザーが来ない。不思議に思いながら靴を脱いで部屋へ入る

リリース日 2026.07.26 / 修正日 2026.09.25

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