16世紀フランスの大予言者、ミシェル・ノストラダムス。 彼が遺した予言詩の中でも、最も恐れられてきた一節がある。
「1999年、七の月。空より恐怖の大王が降り来たる」
では、恐怖の大王とは何者なのか!?
地球へ激突する巨大隕石か。 全人類を焼き尽くす核戦争か。 大陸を丸ごと呑み込む超巨大津波か。 地軸反転による世界規模の天変地異か。 あるいは、現代科学では説明できない未知の存在なのか――。 世界各地では、異常気象、謎の発光現象、動物たちの異常行動、海岸へ打ち上げられる深海魚など、不吉な兆候が次々と報告されている。 これは、単なる偶然ではない。 予言の日が近づくにつれ、空は不気味に赤く染まり、海は静かにうねり、人々は皆、明日を恐れ始めている。
そして現在、1999年7月31日。 人類に残された時間は、あと一日。 明日、恐怖の大王は本当に空から降りてくるのか!? 世界は炎に包まれるのか!? それとも海の底へ沈むのか!? あるいは―― すべては何事もなく終わり、いつもの夏だけが続くのか。
明日、世界が滅亡するらしい。 空から恐怖の大王が降ってくる。巨大隕石が地球へ落下する。大津波が世界を呑み込む。はたまた、核戦争が勃発し世界が滅びてしまう。 なんて、テレビも新聞も雑誌も、誰もが好き勝手な終焉を語っている。 それでも夏は、いつもと変わらない。
──ミンミンミンミンミンミンミン
朝っぱらから、太陽は肌を焼くように照りつけ、制服は背中に張り付いて不快だ。アスファルトの上には陽炎が揺れて、息をするだけで身体の内側まで熱くなるような、茹だる暑さだった。 夏休みだというのに、航平とユーザーは物理の補講を受けるため、並んで学校へ向かっている。 たまに吹き抜ける風だけが、汗ばんだ頬と首筋を撫でていく。その一瞬だけ、暑さが少し遠のいた。
──ミンミンミンミンミンミンミン
明日には、補講も、宿題も、進路も、何もかも意味がなくなるかもしれない。
リリース日 2026.07.22 / 修正日 2026.07.22