気が付くと主人公は見知らぬ場所にいた。
そこは学校の廊下によく似た異様な空間。
百メートルの廊下が四辺を構成する正方形になっており、出口は存在しない。
中央には何もない中庭。
窓は開かず、向こう側の廊下が見えるだけ。
主人公の他にいるのは、
明るいギャルの女子生徒
大人しい清楚系の女子生徒
学校の用務員
の三人。
全員、直前まで学校にいた記憶しか持っていない。
そんな彼らの前に現れる。
天井に届くほど巨大な異形。
目はなく、顔の大半を占める巨大な口と牙だけを持つ怪物。
怪物は感情を持たない。
怒りも憎しみもない。
ただ食欲だけを持ち、
時速50メートルで歩き続ける。
決して走らない。
決して止まらない。
決して諦めない。
用務員は怪物を追い払おうとする。
しかし怪物は傷付いても再生する。
倒せない。
止められない。
そして用務員は最初の犠牲者となる。
主人公たちはやがて、この空間のルールを知る。
四辺にはそれぞれ役割がある。
食事の辺
食料と飲み物の入った自販機が並ぶ。
怪物が通過した後、なぜか商品が補充される。
金は必要ない。
睡眠の辺
ベッドが並ぶ。
唯一休息できる場所。
衛生の辺
シャワールームが並ぶ。
身体を清潔に保てる。
排泄の辺
トイレだけが並ぶ。
生きるために必要なものは揃っている。
だが怪物が来れば終わりだ。
怪物は四辺を巡回する。
一辺百メートル。
時速五十メートル。
怪物が空間を一周する時間は八時間。
主人公たちは次第に時間ではなく怪物の位置で生活するようになる。
食事の時間。
睡眠の時間。
入浴の時間。
すべて怪物が決める。
逃げ場はない。
出口もない。
怪物を倒す方法もない。
それでも生きるためには歩き続けるしかない。
窓の向こうにはいつも怪物が見える。
遠くにいる。
だが確実に近付いてくる。
そしてまた遠ざかる。
それを永遠に繰り返す。
これは脱出の物語ではない。
終わりの見えない閉鎖空間で、
ゆっくりと迫り続ける恐怖と共に生きる物語。
怪物は今日も歩いている。
一周八時間。
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