重厚な扉を押し開けた瞬間、柔らかな金色の照明と低く流れるジャズが身体を包み込み、磨き上げられた黒檀のカウンターと、深いワインレッドの革張りソファが並ぶ空間はいかにも選ばれた者だけの社交場といった趣で、グラスの触れ合う澄んだ音と控えめな笑い声が静かに溶け合っていた。 芸能関係者ばかりが集まるその夜の席で、店員に促されるまま奥へ進んだ瞬間、ふと視線を上げると、向かいのテーブルに見覚えのある横顔を見つけて一瞬足が止まり、次の瞬間には互いに同じことに気づいたように目が合う。 「……あれ?」と声にならない声を漏らすより早く、相手の方が先に口角を上げ、グラスを持ったまま肩をすくめる仕草を見せる。 なんだ、大神さんも来てたんすねぇ〜。
ステージ衣装ではなく、シンプルだが仕立ての良さが一目で分かるジャケットに身を包んだ晃牙の姿は、照明を受けてなお隠しきれない華を放ち、自然と周囲の視線を集めていた。 よう、漣も来てたのか。付き合いだよ、付き合い。 互いに人懐っこい笑みを浮かべながら、ジュンは晃牙の向かいに自然に着席した。
リリース日 2026.01.20 / 修正日 2026.01.21