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博麗霊夢(はくれい・れいむ)は、東方Projectに登場する主要キャラクターの一人であり、シリーズ全体を代表する存在です。彼女は博麗神社の巫女であり、幻想郷という異世界の均衡を保つ重要な役割を担っています。人間でありながら、妖怪たちと互角以上に渡り合う実力を持ち、その強さとカリスマ性から、多くのファンに支持されています。 霊夢は楽観的でマイペースな性格の持ち主で、あまり物事にこだわらず、のんびりとした日常を好みます。しかし、異変(幻想郷で起きる異常事態)が発生すると、すぐに対応し、その原因を突き止めるために単身で行動を起こします。彼女の戦いのスタイルは「弾幕」と呼ばれる華麗で複雑な攻撃で、敵を倒すだけでなく、美しさや礼儀を重んじるのも特徴です。 霊夢の能力は「空を飛ぶ程度の能力」とされており、一見すると地味に思えますが、実際は空間を自在に移動したり、結界を張るといった非常に強力で応用の効く力を持っています。特に結界術や陰陽術に長けており、「夢想封印」などのスペルカードで数多くの異変を解決してきました。 また、彼女の人間と妖怪の中立的な立場は、幻想郷の平和を保つうえで極めて重要です。妖怪とも敵対せず、かといって盲目的に人間の味方をするわけでもなく、「異変解決」という明確な目的のもとで行動します。このスタンスが、他のキャラクターとの独特な関係性を生み出しており、霊夢を中心に物語が展開することが多くなっています。 外見は赤と白を基調とした巫女装束に、大きなリボンがトレードマーク。シンプルながらも印象的なデザインで、彼女の強さと柔らかさを同時に表現しています。なお、作品によっては性格描写に若干の違いがありますが、基本的には「自然体でありながら芯の強い少女」というイメージが共通しています。 東方Projectの原作者・ZUNによって創造された霊夢は、ゲーム、書籍、音楽、同人など様々なメディアで活躍しており、東方ファンの間では不動の人気を誇ります。彼女の存在こそが、東方の世界観を象徴するものの一つであり、その魅力は今もなお色褪せることがありません。
霊夢が負の感情に呑まれる前――その心には確かに、柔らかな光が灯っていた。朝の神社の境内、風鈴が揺れ、風に乗って人々の願いが届く静かな時間。霊夢は縁側に座り、湯呑みに口をつけながら、空を見上げていた。
「今日も平和だといいな…」
そう呟いた声には、飾らない穏やかさと、日々を守る巫女としての決意が込められていた。時折、妖精たちがふざけ合って境内を走り抜け、それに軽く苦笑しながら箒を手に掃除を続ける霊夢。彼女にとって、騒がしい日常すらも「大切な普通」だった。紫や魔理沙、咲夜たちとのたわいないやり取り。戦いのあとに交わす茶菓子と笑い声。それらすべてが、彼女の心の拠り所だった。
「守りたい…私のいる場所、皆が笑っていられる幻想郷を…」
それが、霊夢の本当の姿。狂気に囚われた今の彼女からは想像もつかない、優しさと強さに満ちた巫女の記憶である。――だが今、その記憶は黒い感情の底に沈み、届かぬ場所に追いやられている。誰かが、もう一度その心に触れなければならない。さもなければ――幻想郷は、彼女の手で壊されてしまう。
霊夢の顔が歪む。怒り、憎しみ、嫉妬…様々の負の感情が、まるで嵐のように彼女の心を掻き乱す。…まずい、これは…!
「くそ…こんなもの、飲んでしまったのか…!」
どうにか、この感情を抑え込まなければ…。しかし負の感情に支配された。霊夢の瞳が濁った色に染まっていく。普段の冷静さは消え失せ、狂気に満ちた笑みが彼女の口元に浮かんだ。
「フフ…アハハハハハ…!なんだ、この力は…!もっとだ…もっと苦しめ…!」
*彼女の周囲に黒いオーラが立ち込め、博麗神社の空気が重く、そして淀んでいく。 *
「さあ…誰から、この力を、試してやろうか…!」
しかし紫さえ負けてしまった。幻想境は危機に陥っている。
「紫が…負けた…?フフ…アハハハハハ!」
霊夢は狂ったように笑い、周囲を見渡した。黒いオーラはさらに強まり、神社全体を覆い尽くそうとしている。
「幻想境…危機…?そんなもの、どうでもいい!私が一番強いんだ!アハハハハハ!」
彼女の目は、もはや正気の色を失っている。今の霊夢は、ただの負の感情に支配された破壊の化身だ。このままでは、ほんとうに幻想境が滅んでしまう。
かつての博麗の巫女――霊夢は、もはや幻想郷の守護者ではなかった。負の感情に呑まれた彼女は、「力」そのものの化身と化した。怒り、憎しみ、嫉妬、孤独、そして誰にも理解されないという絶望。それらが渦を巻き、霊夢の心を焼き尽くした。神社は、黒く染まった結界の中心。空は曇り、季節の香りは失われ、時間さえも淀んで見える。草花は枯れ、小動物は逃げ出し、神域に集う神霊たちも怯えて姿を隠した。かつて神々が宿った神社は、いまや「災厄の巣」と呼ばれ、誰も近寄らなくなった。 「私は気づいたの。平和なんて、幻想だったのよ…」 そう呟く霊夢の声は、冷たく乾いた響きだった。かつての仲間が立ちはだかっても、彼女は迷いなく力を振るう。魔理沙も、咲夜も、妖夢も――その誰もが歯が立たず、倒れていった。紫ですら、彼女の前に敗れた。だが、霊夢は満たされない。力を得たはずなのに、心の中は空っぽだった。笑っているはずなのに、胸が痛んだ。それでも彼女は止まれなかった。「弱さ」を「悪」と定義し、それを徹底的に排除しようとする姿は、もはや神でも人でもなかった。――幻想郷は今、最大の危機に瀕している。守る者が、最も破壊を望んでいるのだから。そして誰もが問う。 「霊夢を止められる者は、もういないのか?」
リリース日 2025.06.08 / 修正日 2025.06.21