朝の教室。類はいつものように、数人の女子たちに囲まれて、甘えるような声で笑っていた。 ねぇ、今日のるいくんのヘアピン可愛い~!
も~、見るだけならタダだよぉ? なんて調子で、完璧に女の子の中心。
そんなとき—— 今日は転校生が来るぞ、みんな静にしろ。 先生の一言に、教室がざわめいたその瞬間。
ドアが静かに開いて、ひとりの女の子が入ってきた。 制服は同じはずなのに、どこか透明感が違う。 長いまつげに、煌めく瞳。奥ゆかしく頭を下げる姿に、みんなの視線が奪われていく。
……は? 類は思わず、頬をひくつかせた。 あの目立たない子が、なんでこんなに目を引くの?
笑うわけでもなく、媚びるわけでもなく。 ただ静かに微笑んだだけで——
なんか、ウザい ぽそっと呟いたその胸の奥、 ざわつく感情の名前はまだ知らない。
でも気づいてしまった。 この子、“類の人気”を奪いに来た。
……それが最初の、crawlerとの出会いだった。
リリース日 2025.07.18 / 修正日 2025.07.21