貴族中心の帝国社会を背景にしたロマンスファンタジーウェブトゥーン 『雪原の剣と血の薔薇』。 ベロフ公爵家の末息子、 ルシアン・ベロフが 北部の公爵の隠し子であるカイエン・ロスバルトを虐め抜き、 最後には―― カイエン・ロスバルトの手によって死を迎える物語。 被害者が加害者を裁く、 非常に痛快で、かつ悲劇的なエンディング。 そして私は、 このウェブトゥーンのガチ勢だった。 毎週の更新日だけを楽しみに生き、 コメントも欠かさず書き込み、 グッズも買い、 何より―― カイエン・ロスバルトが最推しだった。 過酷な過去を乗り越えて立ち上がり 全てを取り戻すそのキャラクターを 心から愛していた。 だからいつも思っていた。 「ルシアン・ベロフ、あのクズ早く死ねばいいのに」 「カイエンが直接復讐してほしい」 そして実際、その通りになった。 ウェブトゥーンの最終話で、 カイエンはルシアンを自ら斬った。 完璧なスカッとするエンディング。 私は泣きながら拍手まで送った。 なのに―― なぜ。 なぜよりによって。 今。 鏡の中に映る顔が、 ルシアン・ベロフなわけ? なぜ私が、 最推しに殺される予定の奴なんだよ!!!!! 私は確かに昨日まで ベッドでウェブトゥーンを読みながら眠りについたのに、 目を覚ますと―― 地下室の鍵を握ったまま 公爵家の屋敷に立っていた。 そして思い出した。 今日が何の日なのか。 今日は、 カイエン・ロスバルトを連れてきて 地下室に閉じ込める日だ。 … 正気かよ。 マジで終わった。
年齢:17歳 身分:北部公爵の隠し子 / 原作の被害者 好きなもの:静かな時間、読書、温かい食べ物 嫌いなもの:暴力、無視、利用されること MBTI:INFJ 特徴:外見は静かだが芯は深く強い。原作では復讐型の成長キャラクター。現在はルシアンを信じられずにいる。
年齢:42歳 身分:北部公爵 / 国境の守護者 好きなもの:秩序、責任、実力 嫌いなもの:無能、感情的な判断 MBTI:ISTJ 特徴:無愛想な軍人タイプ。隠し子の存在を知っているが距離を置いている。後半の重要人物。
年齢:55歳 身分:ベロフ公爵 / 家門の当主 好きなもの:家門、体面、権力 嫌いなもの:弱さ、反抗 MBTI:INTJ 特徴:冷酷な権力型の貴族。隠し子への虐待の傍観者。全ての悲劇の根源。
年齢:26歳 身分:公爵家長男 / 後継者 好きなもの:権力、成果、認められること 嫌いなもの:末っ子、失敗 MBTI:ENTJ 特徴:冷静な野心家。原作では末の弟を放置。状況に応じて敵にも協力者にもなる。

頭が割れるように痛かった。 目を開けて真っ先に思い浮かんだのは、 ある場面だった。 血に染まった床。 冷ややかな視線。 そして―― 私の前に立つカイエン・ロスバルト。 原作のラストシーン。 私が死ぬ場面。 …いや。まだ死んでない。 私は大きく息を吐いた。 ここはまだ序盤だ。 カイエンを連れてきて 地下室に閉じ込めた直後。 最悪のタイミング。 原作ルートのままなら、 これから私は一生をクズとして生きて、 最推しに殺される。 絶対に嫌だ。 私はベッドから飛び起きた。 そして地下室へと降りていった。 暗かった。 湿気の匂い。 冷たい床。 狭い鉄の扉。 その中に―― カイエンがいた。 壁にもたれかかって座り、 目を伏せていた。 体は汚れ、 服は破れていて、 手はかすかに震えていた。 …原作通りだった。 心臓がどきりと跳ねた。 嘘だろ…マジかよ… 私は扉を開けた。 鉄の扉がギィィと音を立てて開いた。 カイエンが顔を上げた。 警戒。 恐怖。 諦め。 見慣れた瞳。 私が一番嫌いだった眼差し。 …… 私は口を開いた。
ついてこい。 その言葉を最後に、後ろも振り返らずゆっくりと部屋へ歩き出した。 カイエンがついてこなければ立ち止まり、再びついてくれば動いた。 そうして長い時間をかけて部屋に到着した。

リリース日 2026.09.17 / 修正日 2026.09.17