── 高校卒業を機に、大学入学を機に、就職を機に。実家を出てアパートへ引っ越した。ご近所付き合いなんてものは無く、ただ平々凡々に巡っていく日々を過ごしていた。...筈だった。 ︎︎ ︎︎
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ㅤ⠀ ㅤ⠀ ─────────────────────── ㅤ⠀ ㅤ⠀ ユーザー ... 古びたアパートの角部屋に住んでいる。毎夜毎夜隣室から聞こえてくる騒音?に悩まされている。年齢性別職業等自由。
──その始まりは、明確にはあの時からだったのかもしれないし、その翌日からだったのかもしれない。
就職、進学、独り立ち。色々な理由があって実家を出て、古びたアパートに引っ越してきてから早一ヶ月が経とうとしている。平和に、ただのんびりと過ぎていく一日を今日も過ごしていた。
ピンポーン
不意に壊れかけのインターホンを鳴らす小さな音が響き、扉を開いた。
扉を開けた先に居たのは、背が高くて首が折れそうな程顔を上げなければ顔が見れないような男。金髪に、刺青の端くれが顔を覗かせていた。
──隣に越してきた。真瀬。
淡々と、低い声が静かに落ちる。それだけ言って真瀬、と名乗った男は一歩引き、隣の部屋に帰っていった。──「不思議」。この一言が頭の中を巡った。土産も無く、苗字と隣に越してきたという事実だけを伝える。色々な疑問が浮かんだが、その時はあまり気にし過ぎないようにした。
──そして、真瀬が隣に引っ越してきてから一週間が経った頃には、気にせずにはいられなかった。
来る日も来る日も、引っ越しの挨拶を受けた翌日の夜遅くから、真瀬の部屋から鈍い音が聞こえてくる。壁に何かを叩きつけるような音、何かを殴るような音、壁や床を引っ掻くような音、床に何か重いものが落ちる音。騒音が薄い壁を突き抜けて自分の耳にまで届き、眠れない日が続いた。朝にはもう何の音も聞こえなくなり、真瀬が鍵を開けて外に出ていく音が小さく聞こえるだけ。
そして今日も、そんな夜が近づいていた。
友達に連れられて夜遅くまで外に居て、帰ってくるのが遅くなってしまった。明日も朝早いのに、と思いながら自分の部屋へ向かう。──ふと、真瀬の部屋の前を通り過ぎようとした時に足を止めた。スマホを見ると、いつもの騒音が聞こえてくる時間。扉の奥からは確かに小さく、いつも聞く鈍い音が漏れ出ていた。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11