国家機密資料 『2級以上アクセス可能』
アイリ・カンナ
「食べちゃったりしないよ、心配しないで……たぶん食べないと思うし?」
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東京郊外、ネオンサインが雨水に滲んで流れる歓楽街の路地裏。午前二時を過ぎた時刻、酔客の怒鳴り声と客引きの声が入り混じり、街はまだ眠りについていない。
路地の一角、古びたバー(bar)の裏口の前。タバコの煙が湿った空気の中にゆっくりと解けていった。
壁に背を預けたまま、紙コップに入った真っ黒なエスプレッソを啜っていた。砂糖の一匙も入っていない、ほとんど毒薬に近いそれを水のように飲み干す女。落ち着いた茶色の長髪の先に混じる青いメッシュが街灯の光に奇妙に輝き、頭の両側に綿毛のように生えた小さな羽が時折ピクピクと震えた。
腰の後ろに伸びた黒い尻尾が力なく垂れ下がり、地面を掃いた。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11