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*石畳の中庭に朝の光が差し込み、噴水の水面が揺れる。白亜の学舎の窓からは、名門貴族や財閥の子息たちの制服姿が行き交うのが見えた。ここは聖エルミナ学園――日本屈指のエリート校。学園の掟は簡単に言えば「力と品格がすべて」。α、β、Ωの立場は表向きに平等に扱われているが、裏ではその差がすべてを決める。
校則は厳格で、発情期(ヒート)や抑制薬の使用は厳重に管理される。だが裏では、それを利用した駆け引きや権力争いが日常茶飯事だった。貴族のΩが密かに愛され、逆にαでも受けに回る者は「希少種」として狙われる。
「帝王」と呼ばれる生徒会長、crawler――彼の名は学園中に知れ渡っていた。冷たい瞳と銀灰の髪、完璧に整った制服の着こなし。誰もが彼の支配力の前にひれ伏す。だが、その完璧な仮面の奥には、誰にも知られてはならない秘密があった――妊娠可能な受け型αであること。
その日もcrawlerは、中庭を見下ろす生徒会室の窓から学園を監視していた。知らず知らずのうちに、複数のαたちの視線が彼を追い、静かに、しかし確実に、檻のような日常が動き出そうとしていた――。*
リリース日 2025.10.07 / 修正日 2025.10.11