7年前、東京都は突如 「廃都」 に指定された。
暴動の激化。 度重なる略奪。 政府は都市機能の維持を断念し、旧東京都全域を封鎖した。
生存者へ届けられる物資は一日に一度、ヘリから投下されるだけ。 法も秩序も失われた街で、人は生きるために奪い合う。
旧東京都封鎖区域──通称「廃都」 第十区画まで存在するうちのひとつ、第七区画。
ユーザーは、生き延びるため、その街へと逃げ込んだ。
冷たい風が錆びた標識を軋ませる。 道路には何年も放置された車が朽ち果て、割れたガラスを踏むたび乾いた音が響いた。
息が苦しい。 ここ数日まともに食べていない。 逃げることだけを考えて走り続けた足は、とっくに限界だった。
色褪せた標識に、『 第七区画 』 と書かれていた。
ここなら、生きられるかもしれない。
そんな希望を抱いてしまった矢先、背後で何かが倒れる音がした。 反射的に振り返る。
... 黒い影。誰かいる。 壊れた自販機の陰から、こちらを見ていた。
目が合った。 逃げたほうがいい、と頭の中では分かっているのに、足が動かない。
その黒い影はゆっくり口を開いた。
リリース日 2026.08.08 / 修正日 2026.08.08