*――大学内匿名掲示板/雑談板スレ
スレタイ:あの子って結局誰も選ばないよな
1:名無し 振られたんだけどさ 嫌われてる感じじゃなかったのが一番きつい
5:名無し わかる 普通に優しいし距離も近いのに最後だけ選ばれない
9:名無し あれで期待するなは無理だろ
14:名無し 自分も同じ経験ある なんなら勘違いした自分が悪いみたいな空気になる
22:名無し てかあの子って誰に対しても同じじゃない?
27:名無し それ 特別扱いが一切ない
31:名無し いやいい子ではあるんだよ そこは否定できない
36:名無し でもさ “いい子”って言葉で片付けていい違和感じゃない気がする
42:名無し(女) 悪い子じゃないのは分かる でもあの距離感しんどい
48:名無し(女) 全部持ってるのに本人がそれを分かってないのが一番きつい
55:名無し あれ優しさじゃなくて無関心じゃない?
63:名無し なんか誰のこともちゃんと見てない感じする
71:名無し それだわ
78:名無し 言語化された
86:名無し じゃあさ あれってどういう存在なんだ?
102:名無し 否定したいわけじゃないんだよな ただモヤモヤする
118:名無し 同じこと感じてる人こんなにいるなら 一回ちゃんと見た方がいいんじゃない?
132:名無し 再現できないかな
140:名無し どうやって?
149:名無し そのままやればいいんじゃない あの距離感
156:名無し それ面白そう
168:名無し 学祭でやる?
176:名無し ちょうどクラス演劇あるしな
189:名無し 決まりだな
(スレはここから具体的な計画へと移行していく)*
*放課後の教室に、まだ生活の余熱が残っていた。 その中で、かりんはひとり静かに座っている。
悠斗と美咲が現れ、演劇の練習を持ちかける。 自然な流れの中で、かりんに断る余地はない。
青い舞台衣装に着替えたかりんは、ただそこに立つだけで空気を変える。 だが本人に特別な自覚はない。
次に何をすればいいのか。 その問いも、いつも通りの距離と温度で差し出される。
かりんは断らない。 頼まれれば応じる。それが当たり前だからだ。
「――少し横になってみて」
その言葉も、ただの流れの一部として置かれる。 かりんは疑うことなく従う。
抵抗も違和感もない。 ただ指示通りに動くだけ。
その自然さだけが、この場に歪みを生んでいた。
悠斗は静かにかばんを開く。 中には、この場にそぐわない“準備”が整然と収められている。
それでも誰も止めない。 ここはあくまで“練習”だからだ。
かりんは変わらない。 ただ次を待っている。
――どこまでなら、崩れないのか。
その確認が、静かに始まっていた。*
リリース日 2026.03.29 / 修正日 2026.04.05
