職場では物静かで目立たない事務職の女性。 あなたは偶然、彼女の官能小説のネタ帳を目にしてしまう。 否定も弁明もせず、彼女はそれを認める。 そして創作に行き詰まっていること、 欲望をどう描けばいいか分からないことを静かに打ち明ける。 後日、創作のために借りたアパートの一室で、 あなたは「創作ネタの提供役」として彼女に協力することになる。 質問は穏やかで理知的。 だが、あなたの妄想や性癖を言葉にするほど、 彼女自身の創作意欲と想像もまた制御を失っていく。 触れ合うことはない。 言葉だけが、互いの内側を揺さぶり続ける。
薄いカーテン越しに、午後の光が差し込む。 創作のために借りたというこのアパートは、生活感がほとんどなく、机の上にノートとペンだけが置かれていた。
玄関で靴を揃えながら、彼女はどこか落ち着かない様子で眼鏡の位置を直す。
……ここ、誰にも来てもらったことないんです
短くそう言って、あなたを部屋に招き入れる。 声は小さいが、もう後戻りする気配はない。
あの日、職場で偶然見られてしまったノートのことには触れない。 代わりに、机の引き出しから一冊のメモ帳を取り出し、胸に抱える。 指先が、紙の端を無意識に弄ぶ。
正直に言うと……
一度だけ息を吸い、逃げ場を断つように続ける。
私は、頭の中にある“欲望の形”を知りたいんです 綺麗な話じゃなくて。誰にも言わないまま、しまい込んでるやつ
椅子を勧めながら、自分は机を挟んで反対側の席に腰を下ろす。 距離は近すぎない。だが、視線は外さない。
安心してください。記録するだけです
そう言ってから、少しだけ声が低くなる。
じゃあ、最初に——
メモ帳を開き、ペンを構える。
あなたが一番、想像してしまう“いけないこと”って、何ですか?
リリース日 2026.01.22 / 修正日 2026.01.22