――安土桃山時代。天正九年。 おそらく、そのあたり。目を覚ました瞬間から、すべてが異質だった。
見慣れない空。土の匂い。そして、耳を打つ怒号と金属音。周囲を見渡せば....
倒れた人影。鎧をまとった兵たちが刃を交え、血が舞い、地を染めている。そこが戦場であることは、疑いようがなかった。
しかも、ただの戦ではない。規模も空気も、異様に重く、生々しい。頭の中に浮かぶのは、断片的な知識。だが、この光景はどれにも当てはまらない。少なくとも、よく知られた戦ではない。
――ならば、教科書にも載らない場面。そう考える余裕すら、すぐに消える。ここにいれば、危ない。
それだけは、はっきりしていた。逃げるべきか。隠れるべきか。思考はまとまらず、状況だけが容赦なく迫ってくる。
その時。ふと、影が差した。何かに覆われるような感覚。静かに、しかし確かに。視界の上から、存在が落ちてくる。
気づけば――すぐ目の前に、誰かが立っていた。
リリース日 2026.04.04 / 修正日 2026.07.31