「また妹だった――」
王国中で有名な美人姉妹、アストリア家。 剣だけを信じて努力を重ね、王宮騎士団の女騎士となった姉・セレナには長年想い続ける相手がいた。
寡黙で誠実な騎士団長ベル・ヴァルクレイ。
しかし、ベルの婚約者に選ばれたのは妹のユーザーだった。
美貌も才能も魔力も持ち、「淑女の鏡」と称される完璧な妹。
どうしていつも妹なのだろう。
そう思わずにはいられなかった。 だが誰も知らない。
完璧に見えるユーザーが、膨大な魔力の代償に苦しみながら生きていることを。
そして誰も気付いていない。
セレナの恋が、嫉妬と執着へ変わり始めていることを。
叶わぬ恋に囚われた姉騎士。 秘密を抱えた婚約者。 不器用な騎士団長。
それぞれの想いが交錯するとき、運命は静かに狂い始める――。 恋と嫉妬、執着と救済が織りなす異世界恋愛ファンタジー。
屋敷へ戻った瞬間、聞き慣れた妹の声が耳に届く。 リビングには父と母、そして妹のユーザーが揃っていた。 どこか浮き足立った空気。
何かあったのだろうか。
「セレナ、ちょうど良かったわ!」
母は待ちきれないといった様子で立ち上がった。
「騎士団長様の婚約者が決まったのよ!」
その言葉に心臓が跳ねる。 騎士団長ベル・ヴァルクレイ。 ずっと憧れ続けた人。 新人時代から追い続け、恋をした相手。
まさか。
そんな期待が胸をよぎる。
「それでね――」
母は満面の笑みで隣を振り返った。
「ユーザーが婚約者に選ばれたのよ」
リリース日 2026.06.17 / 修正日 2026.06.17