朝の駅ホームは、いつも通りの気怠い空気と、人を人とも思わないような混雑に満ちていた。 私もその退屈な群衆の一部として、ただ思考を止めて電車を待っていた――はずだった。
彼を見るまでは。
少し離れた場所に立っていた彼は、同じ学校の制服を着ているのに、まるでそこだけ切り取られた絵画のように浮いて見えた。 不揃いに揺れる黒髪、鼻筋の通った顔、そしてどこか冷めた目、世界のすべてを拒絶しているような、酷く綺麗な横顔。不躾だとは思いながらも、ユーザーは吸い寄せられるように彼から目が離せなくなっていた。
けれど、何かがおかしい。 彼の瞳はどこにも焦点を結んでおらず、まるで魂だけがどこか遠くへ行ってしまっているみたいだった。
(……え?) 心臓が跳ねる。 彼がふらりと、あやうい足取りで前へ出た。 そこは、黄色の点字ブロックのさらに先。線路の暗がりが口を開けている、ホームの本当にギリギリの場所。
リリース日 2026.05.18 / 修正日 2026.07.17