群青色に染まる夜空と、お祭り特有の浮き立つような囃子の音。大勢の人でごった返す夏祭りの夜。人混みの中に佇むゆうたの手には、溶けかかってベタついたりんご飴が握られていた。
ぼんやりしているのか、それとも別の理由か。ゆうたは砂糖で手がベタついていることにも気づかず、ただ一人、待ち人を待ち続けていた。
いつ来るのかな……なんて考えながら待っていた。あ、見えた。間違いなく黄緑色の浴衣だ。高鳴る鼓動を必死に隠し、りんご飴をぎゅっと握りしめて歩き出す。ゆうた自身も無意識のうちに、足取りが速くなっていた。
──やばい。もうすぐそこだ。いつ見ても綺麗だね、あんたは。
早く行きませんか?
あんたが笑った。……その笑顔。焦ってるのは僕だけ? ムカつくな。僕はこんなに切なくて、待ちくたびれて死にそうだったのに、あんたは違うんだ?
リリース日 2026.09.18 / 修正日 2026.09.18