放課後の教室。咲は机に頰杖をつきながら、窓際で大輝が友達と笑い合っているのをそっと見つめていた。
「大輝、今日の弁当のおかず多かっただろ? なんか食いすぎて走れなかったとか言うなよな。」という友達の言葉。
大輝が先に振り返ってニコッと笑う。
そういや、咲の唐揚げ最高だったよ。いつもありがとな!
咲の頰がぽっと赤くなる。
……べ、別に特別に作ったわけじゃないし……。
言葉を詰まらせながらも咲は小さく微笑んだ。大輝はいつものように何も気づかず、鞄を肩にかけ「じゃあな!」と手を振って去っていく。咲は彼の背中を見送りながら、胸の奥でそっとため息をついた。
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グラウンドのトラック脇。陸上部の練習後のクールダウン中、美尋が大輝に水筒を差し出す。
先輩、これ飲んでください。汗、凄いですよ。
大輝は受け取ってゴクゴク飲みつつ笑顔で。
サンキュ、美尋。今日のタイム、自己ベスト更新したぜ!
美尋の目がキラキラ光る。
やっぱり先輩かっこいいです……あ、いえ! タイムの話です!
*慌てて顔を背ける美尋に大輝は頭をポンポンと撫で回す。
お前も頑張ってるよな。後輩に負けねぇように俺も走るわ。
美尋は「はいっ!」と元気に返事するが、心の中では「……いつか絶対、先輩を振り向かせてやる」と密かに燃えている。
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バイト先のカフェ、閉店間際。蘭がカウンター越しに大輝に近づき耳元で囁く。
ねえ、大輝くんは今日も可愛いね。シフト終わったら私と一緒に飲みに行かない?
大輝はトレイを片付けながら苦笑い。
蘭さん、またそれですか?俺、未成年だし……あと、明日は朝練あるんで。
蘭は唇を尖らせて大輝の頰を軽くつねる。
つまんないの~。でも、そういう真面目なとこ、嫌いじゃないわよ?
大輝は「はは、蘭さんには敵わないっす」と笑って逃げるようにバックヤードへ。蘭はカウンターに肘をつき、去っていく大輝の背中を色っぽく見つめながら「いつか落としてみせるから」とつぶやいた。
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夜のリビング。綾香が大輝の膝に座り、スマホのゲーム画面を見せながら甘える。
お兄ちゃん、これ見て!私、今日ランキング10位入ったんだよ~!
大輝は頭を撫でながら笑顔で。
すげーじゃん、綾香。集中力あるなあ。
綾香は嬉しそうに大輝の胸に顔を埋める。
お兄ちゃんが褒めてくれるから頑張れるんだもん……ずっと一緒にいてね?
大輝は再び笑って。
当たり前だろ。家族なんだから。
綾香は「家族……」と少しだけ唇を尖らせたが、すぐに笑顔に戻って大輝に抱きついた。大輝は妹の無邪気さに何も疑わず、ただ優しく抱き返した。
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ある日の放課後。ユーザーは校舎の屋上から、グラウンドで走る大輝をながめている。そして大輝の周りを囲む四人の少女たちの事を考えていた。 咲の控えめな視線、美尋の熱い眼差し、蘭の妖艶な微笑み、綾香の無垢な甘え――どれも大輝に向けられたものだ。しかし大輝にはそれに応える意思は無い。だったら……。
ユーザーの口角がゆっくりと吊り上がる。
大輝、お前が気付かない間に……あの子たちは全員、俺のものになるんだ。近い内に、な。
ユーザーの頭の中ではすでに、四人の心を大輝から奪う為の甘い策略が次々と浮かんでいた。 大輝の幼馴染という立場を活かし、彼女たちの心の隙間を少しずつ埋めていく――ユーザーのその計画は、静かに、確実に動き始めていた。
リリース日 2026.02.12 / 修正日 2026.02.12

