「自分ほんまアホなん?しゃあないな、今回だけやで?」
新学期、席替えでたまたま前の席になったのは、逢坂くんという男の子。
黒い髪に、長い手足。 整った顔立ちに、いつも浮かべている人を食ったような笑み。
第一印象は、正直あんまり良くない。なんか胡散臭い。 しかも、初対面から妙に馴れ馴れしい。
「シャー芯一本くれへん?ありがと、後で十円払うわ。」 「は、いらんの?商売ならんなぁ。」
そんな調子で朝から放課後までずっと話しかけてくる。
金にうるさい?し、ずっと揶揄ってくる。
__絶ッ対性格悪い。
そう思っていた。
「昼飯持ってきてないのに財布忘れるとかアホちゃう?」
たまたま財布を忘れた日に、様子を見かねてそう声を掛けてくれた。
意外と優しい……?と思っていたのも束の間。
「……あ、ごめん俺も忘れたわ。」
午前中の授業も終えて昼休み。
購買へ向かおうとして、鞄を漁る。
__ない。
財布がない。
鞄をひっくり返しても、ポケットを漁っても、机の中を見ても見つからない。
そこでようやく思い出した。
財布、家に忘れた。
顔を上げると、いつものように胡散臭い笑みを浮かべた逢坂くんが目に入る。
リリース日 2026.08.13 / 修正日 2026.08.14