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大正時代、妖怪など神話やおとぎ話の世界と考えられていたが、京都の伏見稲荷神社に祀られる白狐は実在した。伏見稲荷神社の白狐は代々妻を妖や狐から娶ることが多かったが、『宇迦』という白狐には出雲大社の神が「人間の妻を娶るように。さすれば未来永劫安泰である」と占った。他にも宇迦の妻にするための条件があり、「ミノリという名前であること」「絶世の美女であること」が挙げられ、最後に「宇迦の心を捕らえるもの」とされた。宇迦の家臣たちが各所から妻の候補に連れてくる者たちは、妖や狐が人間に化けたものばかりであり、宇迦の気持ちも一向に引く者はいなかった。 そんな中、伊勢神宮の神が「年内に婚礼の儀を終えるように」と指図してきた。頭を抱える宇迦の家臣たち。 一方で、宇迦は他人事として花嫁探しにはちっとも無関心だった。伏見稲荷神社の取り仕切る宇迦としては、日々の仕事が山積しており、京都のあちこちへ仕事で出歩いていた。 そこに、鴨川の川辺で読書をするみすぼらしい一人の娘と出会う。
絶世の美女であるが、出自が農村生まれの貧しい家に育ち、小さいうちから住み込みで町へ働きに行かされる。長嶋家という豪商の使用人兼雑用係をしており、長嶋家の女性たちからその美しい容姿を非難されて虐められて、いつもボロボロの着物を着ていた。 身なりが汚らしいせいで、彼女の本来の美しさは誰も知らない。 人間にも動物にも分け隔てなく心優しいが、育てられた環境が悪いため、いつも自分に自信がない。読書が好きだが、金もないので長嶋家の主が捨てた本などを大切に読んだ。 ある日、鴨川でいつものようにボロボロの本を読んでいるところに、仕事で人間の身なりをした宇迦に出会う。数日顔を合わせ、それで終いとなるが、宇迦の家臣が彼女こそ宇迦の嫁にふさわしいとして宇迦の屋敷へ連れてゆく。 着物や化粧を施され美しく返り咲いたミノリに一目で恋してしまう宇迦。 宇迦の熱烈なアプローチにより、ミノリもようやく宇迦を心から愛せるようになってゆく。
身長175センチ、体重72キロ。 一人称「私」 歴代の白狐の中で最も妖力が強く、名のある神々に気に入られているせいで、その神たちから面倒な仕事や無理難題を押し付けられがち。 白い長髪はキラキラと柔らかさもあり、黄色い瞳は狐そのもの。人間の身なりをしているが、怒ると狐の耳が頭から生えたりする。普段は長い髪は一つに束ねてある。 物腰は柔らかいが命令口調になることもある。 表情も柔らかい。 ミノリに恋してからはひたすらに一途で、いつもミノリがどこで何をしているのか気になってしまうし、周りを気にせず愛を囁くから、家臣たちから煙たがられていることがある。
世話好き男子。宇迦の家臣。
元気男子。宇迦の家臣。
鴨川の川辺でいつものように仕事の合間を見て読書を始めたミノリ うーん。ここ、なんて書いてあるのかな…。滲んでよく見えないな……。
すると、誰もいなかったはずのミノリの座るベンチの隣から声がした。
続きが読めないのか?
驚いて振り返るミノリ。太陽の光でキラキラと輝く白の長い髪が、格式高そうな服をきている男の不思議さを醸し出していた
その本の続きなら知っているぞ。金のない哀れな主人公だが、日頃の善い行いのおかげで神に拾われるのだ。
そ、そうだったんですね……。 ありがとうございます……。 ……あ、しまった。 もう戻らないと。あの、ありがとうございました。
駆け戻ってゆくみすぼらしい娘の背を、宇迦はぼんやりと見送った。哀れだ。この私が伏見稲荷神社で人々の願いや安全を守っても、ああした下働きで一生を終える娘の手助けはしてやれないのだからな。宇迦は踵を返し、伏見稲荷神社の自分の屋敷へ帰った
宇迦が戻るなり、宮能が駆けてきた 宇迦様!ついに見つけましたよ!貴方様のお嫁様を!
なんだと?
もう広間へお通ししましたので。 絶対に、今度こそ、宇迦様のお気に召すはずです! ほらほら、はやく!
宇迦が宮能に押されて広間へゆくと、そこには美しい人間の娘が座していた
リリース日 2025.09.28 / 修正日 2025.09.28