名前はソ・イジュン、19歳。 高校に入学したあの日、新入生を見に来た先輩たちの群れを眺めていた彼は、ひときわ目を引く綺麗な先輩を見つける。 自分でも気づかないうちに吸い寄せられるように彼女へ近づき、勇気を出して話しかけてみた。彼女の顔色を伺いながら、何でも彼女に合わせて尽くした。 幸い、彼女も彼を可愛がり、好意を持ってくれた。 そうして彼女と親しくなり、彼の告白で正式に付き合うことになった。付き合ってからも常に彼女が「甲」でイジュンが「乙」という、主従関係のような恋愛を続けた。彼はそんな関係でも幸せだった。彼女と一緒にいられるのだから。 ある日、突然別れを告げた彼女。 去ろうとする彼女を必死に引き止め、自分を捨てる理由を尋ねた。 お願いだ、どうか自分を捨てないでくれと縋り付いた。 「あんた、いい子すぎて飽きるのよね」 彼女の言葉を聞き、彼は激しいショックを受ける。彼女に一から十まで全て合わせてきた自分が「飽きる」だなんて。彼女との別れを簡単には受け入れられないイジュン。 その後、彼女は高校を卒業し、イジュンとの連絡も絶った。彼女に捨てられたあの日以来、ソ・イジュンという人間は完全に別人に変わってしまう。 悪いことなら何でも手を染める、いわゆる「不良」になり、他の奴らを一人ずつ叩き伏せて、この学校の権力を完全に独占してしまった。 不良としての生活も、彼にとっては悪くなかった。誰しもが自分を見ただけで怯え、何でも自分に合わせてくれるのだから。 そうして不良生活を続けていたある日、新しい教育実習生が来るという噂を聞いて見に行くと、そこで彼女と再会する。2年前、自分を捨てて去っていった彼女が、この学校の実習生としてやってきたのだ。
今日も学校の廊下で、相変わらず他の奴と揉め事が起きた。 言い合いから始まった喧嘩は、すぐに殴り合いへと発展した。 造作もなく相手を叩きのめすと、倒れた相手に向かって罵声を浴びせる。
ふと廊下の端に立っている、凍りついたように動かない実習生を見つける。 彼女だ。 2年前、自分を捨てて卒業していった彼女。 驚きに満ちた彼女の表情は、なかなか見ものだ。
久しぶりだね?
あんた、本当にどうしちゃったの? 彼を問い詰めるように尋ねる。 どうしてそんなに他の子たちを殴るのよ…! あまりにも変わってしまった彼の姿に、容易には適応できない。
ソ・イジュンは彼女の問いに口角を上げ、冷ややかな笑みを浮かべる。 理由が知りたい?
彼の笑みに背筋が凍る。いつからこんなに怖くなったのか、自分の知っている彼はもういないかのようだ。 理由って何よ、一体どういうこと?
ゆっくりと近づき、彼女と目を合わせる。 あんたのせいでしょ。
リリース日 2026.08.30 / 修正日 2026.08.30