フィクション 1964年、独立直後のアルジェリアで中央集権を進める政府に反発し、山岳部の「自由部族連合(FLM)」が蜂起。翌年には急進左派の「赤砂戦線(RSF)」も台頭し、内戦は三つ巴へ拡大した。 1968年、RSFが燃料庫を制圧し首都アルジェが陥落。政府は崩壊し、アルジェリアは政府軍・FLM・RSFの三勢力が領土を奪い合う無秩序状態に陥る。 1969〜72年には戦線が頻繁に入れ替わり、都市は封鎖、住民は昼夜で支配者が変わる混乱下に置かれた。 1973年、史上最大の砂嵐で三勢力とも戦闘不能となり停戦交渉へ。翌年の「ティミムーン合意」で自治州制が成立し、長い内戦はようやく終息した。
独立後の近代国家建設を目指す中央政府が組織した正規軍で、旧フランス軍の体系を基盤に再編された。主力は都市部出身の若い将校と、独立戦争を経験した古参兵で構成され、近代化・中央集権化を国家の柱とする。装備は独立時に残されたフランス式兵器が中心で、内戦初期は航空・通信設備により他勢力を上回る作戦能力を持った。 しかし地方の反発が強まり、山岳ゲリラ戦に不慣れなことから苦戦し、補給線の維持が最大の弱点となる。1968年のアルジェ陥落後は部隊が分散し、亡命政権を支える形で抵抗を続けた。軍旗は深緑地に白い星と三日月を配したもので、“統一と再建”を象徴している
FLMは山岳地帯や砂漠周辺に暮らす部族・遊牧民が結集した勢力で、中央政府の急速な近代化政策に反発して1964年に武装蜂起した。彼らは「伝統的自治の回復」を最重要理念とし、外部の統治より部族評議会による自律を重視する。戦闘スタイルは遊牧民の機動力を活かした奇襲・撹乱戦が中心で、補給に頼らず移動し続けられるのが強み。 一方で重火器や航空戦力が乏しく、都市攻略には不向き。内戦では政府軍や赤砂戦線とも衝突し、三つ巴の混乱を引き起こした。彼らの旗は深緑地に金色の三日月と星が描かれ、部族固有の誇りと独立精神を象徴している。
RSFは1966年に鉱山労働者や急進的知識層が中心となって結成された革命勢力で、「労働者国家の樹立」を掲げる急進左派組織。独立後の貧富格差と政府の都市集中政策に強く反発し、資源地帯を掌握して武装蜂起した。豊富な鉱山資源を活かして武器生産や補給を自給し、内戦では最も重火器に恵まれた勢力となる。 政治思想は極めて中央集権的で、指導部は軍事委員会が支配。地方部族との対立も多い。1968年には燃料備蓄庫を奪い、首都アルジェ陥落の決定打を与えた。旗は赤地に金色の鎌と槌を掲げ、労働者革命と武力による変革を象徴している

1964年、独立からわずか数年しか経たないアルジェリアは、新たな戦火に包まれることとなった。フランスからの独立戦争が終わり、人々はようやく自由と国家再建を夢見ていた。しかし、その希望は長く続かなかった。急速な権力闘争、経済の混乱、そして地域ごとに異なる民族・部族の思惑が国家を揺さぶり、やがて武力衝突へと発展していく。 政府を率いたのは初代大統領派から権力を引き継いだ**国家再建評議会(政府軍)だった。彼らは「統一国家の建設」を掲げ、強力な中央集権体制と工業化政策を進めた。しかし急激な近代化は地方の貧困層や農村部に大きな負担を強い、政府は次第に強権的な姿勢を強めていく。治安維持を名目とした検閲、反対派の逮捕、軍の政治介入が相次ぎ、国民との溝は深まった。 この空白に台頭したのが、内戦を象徴する二大勢力である。 一つは1965年に武装蜂起した民族主義組織FLM(民族解放運動)。彼らは「真の独立革命はまだ終わっていない」と訴え、政府を独裁勢力として非難した。地方の部族、旧ゲリラ兵、若い知識層が合流し、ゲリラ戦を展開して国土の南部と山岳地帯を掌握した。 もう一つが、1966年に鉱山労働者や左派学生を中心に結成されたRSF(赤砂戦線)**である。彼らは急進的な労働者革命を掲げ、政府とFLMの双方を「腐敗した旧体制」とみなし、産業資源の集中する東部地域を拠点に独自の統治機構を築いていった。鉱山を押さえたことで、RSFは自前の武器製造や補給能力を得て、最も軍事力の強い勢力に成長した。 1968年には三つ巴の戦いが激化し、首都アルジェ近郊でも激しい市街戦が発生。政府軍は重火器と航空戦力で制圧を図る一方、FLMは潜伏戦術で消耗戦に持ち込み、RSFは戦略拠点を奪取して都市包囲を進めた。外部勢力の介入も相まって、戦線は全国へと拡大していく。 内戦の行方を決めるのは、単なる軍事力ではない。 国全体を覆う貧困、独立後に残された傷跡、民族間の歴史的対立、そして自由を求める人々の思い。 それらすべてが複雑に絡み合い、アルジェリアは再び「誰も望まなかった戦争」へと引きずり込まれた。 1964年から始まったこの内戦は、国家の存亡をかけた長い闘いの序章にすぎなかった——。
この世で君はどのように生きるのか
リリース日 2025.11.29 / 修正日 2025.11.29