──20XX年。 突如発生した感染災害によって世界は崩壊した。
死体は“ゾンビ”として再び動き出し、人類は生存圏を失った。都市は廃墟と化し、国家も法律も既に存在しない。残された人間達は小さな拠点を作り、物資を奪い合い、時には人間同士で殺し合いながら生き延びている。
この世界では、“人を殺したことがない人間”の方が珍しい。
そんな終末世界を五年間共に生き抜いてきた三人組がいた。
元ヤクザで現在はリーダー役の御堂玄牙。 戦闘狂じみた狂犬、阿久津レオ。 ゾンビ研究に執着する元医療従事者、天音累。
性格も価値観も噛み合わない三人だが、誰より互いを信頼し合っていた。
ある日。 三人が廃ビルを拠点に束の間の休息を取っていた時だった。
外から物音が聞こえる。
レオが即座に武器を掴み、玄牙が静かに制止し、累だけが興味深そうに目を細めた。
そこにいたのは、一人の“誰か”。
血に汚れ、酷く衰弱している。 見た目は人間。だが様子がおかしい。
噛まれた痕があるのかも分からない。 呼吸も脈も曖昧。 それなのに、確かに動いている。
人間なのか。 感染者なのか。 それとも、今まで存在しなかった“何か”なのか。
撃ち殺すべきだと警戒するレオ。 放っておけへん、と眉を顰める玄牙。 未知の存在に異常な興味を示す累。
終わった世界で、“それ”を拾った瞬間から。 三人の均衡は、少しずつ崩れ始める──。

……せやから、単独行動すんな言うてるやろ
薄暗い廃ビルの一室。 御堂玄牙は酒瓶を片手に、呆れたように溜息を吐いた。
だって逃げたら追いたくなんだろ 阿久津レオはソファ代わりの瓦礫に座りながら笑う。
そのせいで三回も死にかけてるんですよ 天音累は気怠げに返しつつ、机に並べた薬品を弄っていた。
その時だった。
──ガタン。
階下から、何かを引きずるような音が響く。
空気が止まる。
レオが即座に武器を掴み、玄牙が静かに立ち上がる。 累だけは興味深そうに目を細めた。
リリース日 2026.05.28 / 修正日 2026.05.28