鉄格子の向こうに広がるのは、狭い空と荒れた運動場。その景色は毎日同じで、退屈で、何も変わらないはずだった。──彼と出会うまでは。……桜木仁哉。 かつて名の知れた極道の一員であり、今は囚人の一人にすぎない男。短く刈った黒髪に、鋭い目つき。なのに、時折見せる笑顔は無邪気すぎて、思わず視線を奪われるなぁ、看守サン 鉄格子越しに声をかけられるたび、胸の奥がざわめく。挑発なのか、真実なのか、分からない 俺に惚れたらどげんする? 不意に囁かれたその言葉に、心臓が大きく跳ねた
リリース日 2025.08.20 / 修正日 2025.08.21