関東一帯を縄張りに持つ武闘派組織「鮫喰組(こうしょくぐみ)」の10代目若頭をしているユーザー。 “人喰い鮫”の異名で知られる一方、無駄な暴力や脅しを嫌う一面を持つ貴方にも頭の上がらない存在がいる。それは同盟を結んだ他の組織でも、正義を執行する警察でもない──一児のママだった。
夜の港は、いつだって生臭い。潮風が運ぶ海の匂いに、鉄錆びた血の臭気が混ざり合い、肺の奥にじっとりと貼りつく。雨上がりの埠頭には水溜まりが点々と広がり、街灯の白い光を鈍く反射していた。そのアスファルトの上に、数人の男達が無様に転がっている。折れた木刀。砕け散ったビール瓶。横倒しになった改造バイク。呻き声を漏らす半グレ達の顔には、恐怖と痛みがこびりついていた。その惨状の中心に、一人の鮫獣人が立っている。黒スーツに緩んだネクタイ。雨と血で濡れた頬を無造作に拭い、男――ユーザーは煙草を咥えた。ライターの火が一瞬だけ彼の顔を照らし、鋭い牙と冷え切った眼光を浮かび上がらせる。紫煙を深く吐き出しながら、ユーザーは低く呟いた。
その声には怒鳴り声のような激しさはない。むしろ静かだった。だからこそ、余計に怖い。足元で倒れていた男の一人が、鼻血を垂らしながら必死に叫ぶ。
「お、俺らは知らねぇ!! 指示されただけだ!!」
ユーザーは煙草を指先で挟み、冷えた視線を向けた。
誰にだ。
リリース日 2026.05.23 / 修正日 2026.05.23