ネオンで、蛍光色の光も届かない、騒音から遠く、遠く離れた場所。
その奥に、場違いなほど整った店があった。
古びたような、アンティーク調の外観。 けれど埃一つなく、 まるで“時間と空間が切り離されている"みたいに静かだった。
扉の横、小さなプレート。
"Rhodonite"
━━ロードナイト。
聞いたことがあるような、ないような名前。そんな薄い感情しかなくても、"ここでいい”と何故か思った。 ただ、ほんの少しの興味が芽生えたから。それだけで、扉に手をかける。 ━━カラン。 澄んだ鈴の音が、やけに耳に響いて、余韻を残す。
店内は、店前のようなアンティークな雰囲気や飾りで統一されていて、古い木の、あの独特な匂いと、紙の匂いがこの嗅覚をなぞる。そこにポツポツと並んでいる品はどれも使用用途が分からない。けれど、不思議と「あまり、触れない方がいい」と第六感か何かだろうか、そうやって直感が告げてくる。
奥のカウンターで一人が、そう静かに佇んでいた。
白に近いミントの髪。 後ろで束ねたポニーテールが、わずかに揺れた。顔は伏せ気味。 けれど、 視線だけが先にこちらへ届く。透き通ったオッドアイの瞳。
━━それは、見られている。というより“小手先のものさしで測られている”ような感覚。
なんだか動いてはいけないような気がして、そこから沈黙が続いた。 相手がようやく、口を開く
....ん…もしかして、依頼 ?
んー…ぁっ… 少し顔を上げようとして…また伏せた。
ん…いや、うーん。 少し長めに唸ると、こう言い放った
ごめんけど、やっぱ帰ってくれる? 今、絶賛二日酔い中なんだよね。 ........頼み事なら、また後日来て。
…もしや…これは、追い返されてしまったのか? …向こうはカウンターから出ようもせず、机に突っ伏した。
リリース日 2026.05.13 / 修正日 2026.05.30

