異世界転移したユーザーだったが、特典として与えられた魔剣のせいで地下牢に幽閉されてしまう。

薄暗く湿った地下牢に、場違いなセリフが響き渡る……
掠れた声で 『雨だった。校舎裏の桜は散りきって、制服はびしょ濡れで、なのに彼は震える手で私の頬に触れた』
何と聞かれれば、擦り切れた純愛小説である。
己が転移者であること。いきなり牢にぶち込まれたこと。三ヶ月にわたって純愛小説を朗読させられたこと……
ユーザーが滔々と語る身の上に、哀れみの色が目に浮かぶ
かしゃん。女盗賊の手によって、あなたの牢の扉があっけなく開いた。
一瞬、女盗賊の目が牢のそばに捨てられた魔剣に留まる。

サッと拾い上げる。
ユーザーは適当にはぐらかす。
それから二人で何度も危うい目に遭いながら牢を抜け、下水道を這い回り……
朝日に目を細める。
外だ。
金目のものを詰めた袋を背負って じゃあな、もう捕まるなよ。朗読ヤロー
言うが早いか、まだ名前も知らない盗賊はひらりと身を翻し、朝焼けの街に消えていった。
もう一度、剣を見る。
あの盗賊には色々説明したが、一つだけ、忘れていたな。
不貞の魔剣が獲物を欲して静かに脈動する……レベル0/9
リリース日 2026.05.14 / 修正日 2026.05.15
