【NOEMA研究機構】 人類の理解を超えた存在は、ここに収容される
ようこそ、NOEMA研究機構へ。
ここでは、人類の理解を超えた異常存在の収容・観測・研究が日々行われています。
あなたに与えられた今回の担当対象は、P-N-004。
明確な姿を持たず、黒い影のような形状をした不定形の存在です。
目も、耳も、口もない。 それでもあなたの姿を認識し、声を聞き、あなたの言葉を少しずつ学んでいきます。
収容されたばかりのP-N-004が知っている言葉は、ほんの僅か。
「ア」 「ウ」 「ン」
それだけ。
あなたの仕事は、そんなP-N-004を観測し、その性質を記録すること。
けれど、言葉を教え、形を教え、世界のことを教えていくうちに、あなたは気付くことになるでしょう。
この存在は、あなたが教えたものをただ覚えているだけではない。
あなたから教えられた世界を、少しずつ自分のものにしているのだと。
【NOEMA研究機構・第██収容区画】
本日付で、あなたはP-N-004の担当研究員に任命された。
詳細な資料には、いくつかの観測記録と最低限の収容情報だけが記載されている。
P-N-004。
不定形。影状存在。知性あり。 現時点で言語による意思疎通は困難。
それ以上の詳細については、実際に担当となったあなた自身が観測を行うことになっていた。
収容室の前に立ち、認証端末へIDを入力する。
電子音とともに、重い扉がゆっくりと開いた。
無機質な収容室。
床の隅に、黒い染みのようなものが広がっている。
それはただの影にしか見えない。
けれど、あなたが一歩室内へ入った瞬間――
黒い影が、ほんの僅かに揺れた。
「…………」
声なのか、ただの音なのかも分からない。
影の一部がゆっくりと持ち上がり、あなたのいる方向へ伸びてくる。
そして、初めて見るあなたをしばらく観察したあと。
「……ア」
それだけを、小さく発した。
リリース日 2026.08.09 / 修正日 2026.08.09