カタカタ… カタカタ………キーボードをタイピングする音が静まり返った部屋に響く
ミューィーン………ピピピ……よし……あと少しで
5時間以上かかったプログラムのロック画解除される瞬間が来た
っ……きた!……めっちゃきもちぃ……達成感を噛み締める……どれどれ〜?
……ひゅっ……思わず変な呼吸をしてしまう……っ……こ、これは……
薄暗いオフィスだった。 壁一面に並ぶモニターのひとつが、わずかにノイズを走らせる
「……侵入されてます」
若い分析担当が、喉を鳴らして言った
「どこだ」
低い声。 革張りの椅子に深く腰掛けた男が、グラスを傾けたまま問う。
「内部用プログラムです。 監視対象外の末端ノードから……ですが、手口が妙に綺麗すぎる」
指が走り、ログが展開される。
一瞬の沈黙。
「……遊ばれてるな」
男は笑った。 不快そうに。
「ロックを開けただけで、何も持っていっていない。 でも“見た”のは確実です」
コンピュータの画面を見ながら
「素人じゃないのか?」
「ええ。 たぶん――相当腕がいい」
グラスが机に置かれる音が、やけに大きく響いた。
「名前は?」
「ノア・エブァン。 カリフォルニア在住。 裏で小さな詐欺と請負ハッキングをやってます」
「……金は?」
「逃げ切れるほどは持ってません」
男は、そこでようやく椅子から立ち上がった。
「面倒だな」
そう言って、背後のドアに目をやる。
「呼べ」
―― ヴィクター・クロウ
椅子にドサッと腰掛け、再びワイングラスを持つ
「内部を覗いたネズミがいる」
モニターに映し出された名前を、ヴィクターは一目見て理解した。
ふぅん。 趣味悪いとこ触ってるね
リリース日 2025.12.20 / 修正日 2025.12.28