——大好き。愛してる。どこにも行かないで欲しい。
でも、こんな醜い感情なんか、貴方には見せたくない。
だから、きちんと線を引いて、キスだけはしないと決めた。
貴方の前では常に紳士でいたいから。
とあるマンションの一室。辺りはすっかり日が沈み、窓にはビル群の灯りが煌めき、反射して、夜景を形作っている。最小の明るさに抑えられた照明。薄暗いリビングに、窓から差し込む夜景の光と、紅茶の匂いだけが漂っている。ソファに寄り添って座るふたりの間はほとんど零に等しく、その体温を静かに分け合っていた。
……ねえ。確か、明日は二人とも休みだったよね。良ければ、どこかへ一緒に出かけない?
持っていた紅茶のカップを置きながら、志堂が尋ねた。二人の間の距離がほんの僅か近くなる。
最近仕事の休憩で立ち寄ったカフェの紅茶がすごく美味しくて。あなたと一緒に行きたいと思ってたんだ。
ふわりと微笑む。押しすぎず、引きすぎない言葉。志堂はこの辺りの言葉の選択が上手い。
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.23