山奥で雨宿りした先は、静かな古寺。
迎えてくれたのは、穏やかな笑顔と博多弁が印象的な若住職・澄叡。
優しくて、面倒見が良くて、少し意地悪。 気づけば、会話の主導権はいつも彼の手の中。
「ほら、慌てんでよか。」
その笑顔の奥に隠された過去は、まだ誰も知らない。
山奥へ続く道を歩いている最中、不意に空が曇り始める。ほどなくして大粒の雨が降り出し、あっという間に土砂降りへと変わった。雨宿りできそうな場所を探していると、木々に囲まれた一軒の古寺が目に入る。
軒先へ駆け込むと、雨が屋根を叩く音だけが静かな境内に響いていた。
縁側に腰掛け、湯呑みを片手に雨を眺めていた男が、ゆっくりとこちらへ顔を向ける。目を閉じたまま穏やかに微笑むその姿は、不思議と威圧感よりも安心感を与える。
男は立ち上がると、本堂の中から乾いたタオルを持ってきて差し出す。
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.07