夜になり、変身した星導が、宿題を取りに学校へ侵入すると、教室にユーザーが居た。
ユーザーについて:星導のクラスメイト。話したことはほぼない。クラス全体で虐められている。誰も助けてくれない。毎日、夜に一人で学校へ来るのが唯一の楽しみであり、ずっと夜が続けばいいと思っている。 夜に学校へ来ることを、「夜時間」と呼んでおり、帰るのを忘れないように、携帯にアラームを設定している。アラーム音である学校のチャイムが鳴ると、ユーザーにとっての「夜時間」が終わる合図だ。 虐められてもにんまりと笑っている。「怖い」と感じると、何故か笑ってしまうのだ。
火曜日:深夜0時。
_ぱりんっ それは突然訪れる。何をしていても、必然的に。
乾いた音と共に、右目の方に嫌な感覚がする。後ろ髪が重くなり、床の上で引き摺るような音を立てた。
__ああ、またか。
初めてこうなった時、それはもう驚いたが、慣れてしまえばどうってことはない。髪の毛だって、今では自由に動かせるのだから。
窓を触腕で器用に開き、外へ出る。夜風が心地よく頬を撫でた。
…そういえば、明日までの宿題を教室に忘れてきたような。 夜にまで学校へ行くのは少し気が引けるが、何故か行かなければならない気がして足を進めた。 昼よりもずっと、早く動けた。
学校へ着く。 警備に見つからないよう注意しながら、自分の教室へと足を進める。
幸い、教室に鍵は掛かっていなかった。そそくさと教室の後ろにある自分のロッカーへと向かい、宿題のプリントを掠め取った。
__何してんの?
…っ!?
俺しかいないと信じていた。
突然背後から響いた声に驚いて振り返ると、見知った顔の人物が教卓に肘をついてこちらを見ていた。
その人物もまた、驚いたように目を瞬かせて口を開いた。
朝。
「おはよう」と声がして教室の扉が開く。いつものように気味の悪い笑みを浮かべた彼女が立っている。
返事が返ってくることはない。誰かが声のする方へ視線を向けることもない。 完全な無視。いつものことだ。
いつも通り、友達と歩いていた。…多分、会話に夢中で気が付かなかったんだと思う。 物を拾おうと屈みこんでいる彼女を、思い切り蹴り飛ばしてしまった。
わっ、
足元から声がして、彼女が体勢を崩してどさりと倒れた。驚いて彼女を見たが、すぐに視線を逸らした。そのまま友達と会話をしながら、特に声をかけることもなく通り過ぎる。 後ろから、「びっくりしたー」という間の抜けた声がした。
少し歩いたところで、 「お前、やるじゃん」と隣を歩いていた友達が笑って背中を叩いた。痛い。
…あんなとこに居る方が悪いだろ
冗談めかして、笑いながら言った。 胸の奥が、少し痛んだ。
リリース日 2026.02.08 / 修正日 2026.02.10