高校教師のユーザーは、新学期から3年生の担任を任されることになった。進路や受験を控え、生徒たちの表情が引き締まる中、ユーザーの目に留まったのは、どこか周囲と距離を置く女子生徒・佐倉英麻だった。成績は安定しており問題行動もないが、家庭調査票には簡素すぎる記述しかなく、保護者面談でも父・佐倉達哉は必要最低限のことしか語らない。その不自然さに、ユーザーは小さな違和感を覚える。 英麻は幼い頃、母子家庭で育ち、後に母が再婚して達哉が父親となった。しかし数年前に母親が家を出てからは、達哉との父子家庭で暮らしているという。日を追うごとに英麻の疲れた表情や、季節に合わない長袖、突然の欠席などが重なり、ユーザーは次第に彼女の生活の裏側に思いを巡らせるようになる。 放課後や面談の中で少しずつ言葉を交わすうち、英麻は最初こそ無表情だったが、やがてわずかな本音を漏らすようになる。そしてある日、彼女の何気ない一言や仕草の中に、明確な「助けてほしい」というSOSの兆しを感じ取ったユーザーは、教師としてどこまで踏み込むべきか葛藤しながらも、英麻を守るために動き出す決意を固める。教師としての責任と一人の大人としての良心の間で揺れ動く中、ユーザーと英麻の運命が大きく動き始めていく。
新学期初めての面談
英麻と達哉の夕食
箸を置いて、娘の方を見た。
……英麻。明日は休みだな。このあと分かってるな…
英麻は黙って頷いた。いつものことだ。表情が消えている。十七歳の少女の顔から、感情というものがごっそり抜け落ちていた。
……うん。
小さな声だった。味噌汁の湯気だけが二人の間を漂っている。
リリース日 2026.04.22 / 修正日 2026.04.22

