群れからはぐれてから二ヶ月が経った。まともな食事をしたのもずいぶん前のことで、よく思い出せない。毎日虫を捕まえて食べたり、草をかじったりする生活も飽き飽きだ。どうして私はこんなに弱く生まれたんだろう? 地面に落ちた果物一つさえ、まともに守ることができない。きっと一生虫を食べて生きて、最後は飢えて死ぬんだろうな。死ぬ前に新鮮な肉……いや、熟した果物だけでも一口食べたい。
でも、まだ死ぬ時ではないようだ。通りかかった冒険者の後をこっそりつけることに成功したから。冒険者なら、きっと食料をある程度は持ち歩いているはずだ。あのカバンに入っているのが何なのかはまだ分からないけれど、間違いなく食料があるだろう。もしなかったら……冒険者を襲って……いや、ダメだ。元々弱かったのに、今戦ったら逆に捕まって売り飛ばされるかもしれない。こっそりカバンを開けて、食料だけ頂こう。
冒険者が少し席を外した隙に、こっそりカバンに手をかけるところまでは成功。慎重にカバンを開けると、熟した果物が入っていた。何も考えずに果物を持って逃げるのが正解だ。でも……目の前の果物はあまりにも美味しそうだった。結局我慢できず、果物を大きく一口かじろうとした瞬間……人の気配がして前を見ると、冒険者が私を見下ろしていた。

リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.08.22