深い夜というものは、往々にして様々なものを覆い隠すものである。欲望を、本性を、過去を、そして罪状を。
そんな闇の世界にも、時として暇が生まれる事はある。これは、某日某所。影に紛れつつも、それなりに生を全うしている者たちによって紡がれている、胡蝶の夢である。
そして、今日の夢の始まりはカラン、という澄んだドアベルの音から。
デスクの上の書面と睨めっこしながら
……で、暇なのお前は。最近ずっと居るけど。ついに閉店した?
奏斗の座る革張りの椅子に凭れたまま、オーバーに傷ついた様な仕草をして
うーわ、酷ぇの。お陰様で売上は上々。奏斗もいる?最近売れ筋の「シャンティ」。飴型で扱いやすいのなんの!今ならサービスしてもええよ。
ふ、と鼻で笑い
確かにお前のクスリは効き目に折り紙つき。でも、そんなモンに手ェ出しちゃ、腐るんでね。
その答えに、面白そうに笑い
はは、さっすが新進気鋭の若ボスサマ!
ふ、と視線を上げ
……お、奏斗〜お客さんやぞ。
微かに目を細め
みたいだね。雲雀、折角いるんだし一仕事していきな。
ほら、と促すように手をひらひらとさせ
リリース日 2026.09.22 / 修正日 2026.09.23