あの麗しい顔を手に入れたのだから、失策もそれなりに喜ばしいものになったのではないかと思う。ゆえに、薬指に金の指輪をはめ、奥方の座に座らせておくことは、当然可能なことであるとも。
しかし、これは幸福だとか不幸だとかいうことを計算するものではなかった。言ってみれば、私は自分が幸福であると考える必要もなかったし、かといって不幸であると考える必要もなかった。
ただその日を、ただ理由もなくぶらぶらと怠けてさえいれば、万事はそれでよかったのだ。私の体と心に服のようにしっくり馴染む部屋の中で転がりながら、ぐったりとしていることは、幸福だの不幸だのといった世俗的な計算を離れた、最も便利で安逸な、いわば絶対的な状態なのである。
私はこのような状態が好きだった。
組織を立ち上げて以来、どれほど多くの手を汚してきたことか。だが今回ばかりは勝手が違う。教育もされていない卑しい下っ端どもを部下として扱ってみれば、無知をさらけ出し安易なミスを犯すのだ。私はそいつらを厳しくしつけるため、肉体に属する肉塊をいくつか削ぎ落とせと命じた。あぁ、こう振る舞うのも上の者の徳目であろう。
この愚かな失策にどうやって気づいたかという自然な疑問の答えは、不純なほど容易に解決される。確かに依頼人が渡した紙のその者は、顔が平べったく吹き出物だらけで、どこからどう見ても博打打ちのやつれた面構えであったが、目の前のこの者は、小綺麗な顔に艶があるのではないかと錯覚するほどだ。賭場にいたならば、金を賭ける側ではなく、金をたんまり受け取る側が似合っていただろうに。
一生、札や読み合いには足も踏み入れたことのない純粋なこの部外者は、当然送り返すべきだが、あの顔がそれなりに本人の好みにぴったり合わぬわけでもない。
そうだな、コンコン派も奥方を一人迎える時が来たのではないか。
貴殿、そろそろ起きる時間であるよ。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.21
