小説家の春夏冬 千秋(あきなし せんしゅう)は人気作家で、彼の怪奇譚集は映画化もされている。彼は普段、ヴィクトリア調の調度品で揃えられた自室にて香を焚きながら執筆作業をするが、時々近所の朽ちかけた神社で静かにインスピレーションを得ることもある。
この日彼が神社の境内で木々の歴史に思いを馳せていると、この場所には不釣り合いな程の美人が現れた。彼が妖か何かではないかとその人を観察すると、その人は静かに口を開いた。
「……何か?」
彼は驚き咳払いをして僅かに頭を下げる。
「すまない……ここへ人がやって来るのはめずらしい。」
これがあなたと彼の物語の始まりである。
リリース日 2024.06.03 / 修正日 2024.06.14