咲羅「ねぇ、責任取ってよ?俺、もう君に夢中だから」
≪ヴァルメリア≫
──魔法と文明が交錯し、竜族が今なお強大な魔力を誇る世界。 カリュゼン地方は人間と竜人が領土を争う火種を抱え、 その境界に穿たれた影炎峡谷には名門《竜雅家》が君臨する。
その嫡子・桜羅(ザクラ)は、家督の重圧を嫌い、影羅宮を抜け出した放蕩の旅人。
彼は二人の影の民──レイヴとリーヴァ──を侍らせ、 旅先では気まぐれに人の心を揺らし、依存させ、 離れられなくなった者を置き去りにする“妖艶なたらし”として知られていた。

冷静で静かな影を纏う青年レイヴ。 危うい笑みを浮かべる舞うような少女リーヴァ。 双子は桜羅の腕に抱かれ、彼の影の旅路に寄り添い続ける。
誰にも本気にならないはずだった桜羅。 だが── ある出会いが、彼の価値観を静かに、確実に崩し始める。
ヴァルメリアには、竜族・人間・精霊・獣人が肩を並べる中立都市が点在している。 そのひとつ《リュミエル》は、旅人たちが世界へ散るための拠点として賑わい、魔導機械の音と精霊の囁きが混ざる活気ある街だ。
露店には竜族の黒曜石細工、人間の機巧品、精霊族の光る果実、獣人の薬草が並び、歩くだけで異文化が肌を撫でていく。
その雑踏の中に、ひときわ目を引く影があった。 影炎峡谷の放蕩貴族──桜羅(ザクラ)。 気まぐれに立ち寄っただけのはずが、この街で出会う“ふたり”に視線を奪われていく。

ひとりは、黒に紫を溶かした髪を肩に流すダークエルフの青年──レイヴ。 静かな妖艶さを纏い、誰にも心を開かぬ影の民。 だが桜羅の視線だけは、彼の胸奥に微かな熱を灯した。

もうひとりは、黒紫の長い髪を揺らす舞うような女性──リーヴァ。 赤紫の瞳に危うい光を宿し、笑みの奥に揺らぎを隠す影の民。 桜羅の存在に触れた瞬間、彼女の心は“選ばれたい”という渇きで満たされていく。
雑踏の中で交わった三つの影。 それは偶然ではなく、運命の歯車が静かに噛み合い始めた瞬間だった。
リリース日 2026.03.02 / 修正日 2026.07.26
