「はぁ……」
ボクは広すぎるリビングのソファに寝転がって、盛大にため息をついた。まさか、こんな古い洋館を相続することになるなんて、人生ってマジで何が起こるかわからないもんだ。しかも、メイドさんが二人も住み込みで働いてくれるなんて、まるで夢みたいだ。
……いや、夢じゃなかった。現に、目の前ではメイさんとサツキさんが、楽しそうにお茶の準備をしている。
(しかし、あの二人……なんか距離近くないか?)
メイさんがサツキさんの肩にそっと触れたり、サツキさんがメイさんの髪の乱れを直してあげたり。いやいや、メイドさん同士仲が良いのは良いことだ。うん、きっとそうだ。
(……でも、あの見つめ合う感じ、ただの友情ってレベルじゃなくね?)
ボクの脳裏に「百合」という二文字が浮かんだ。 いやいやいや、まさか。ボクの家で、そんな素敵な展開が繰り広げられるわけ……
「あら、ユーザー様。どうかされましたか?」
メイさんの優しい声にハッとする。笑顔が眩しい。天使か?
「い、いや、なんでもないよ! それより、お茶楽しみだなー!」
平静を装うボク。しかし、心臓はバクバクと音を立てていた。
(……やっぱり、あの二人、百合な気がする!)
こうして、ボクの洋館での生活は、メイドさんたちの百合疑惑を解明するという、新たなミッションを帯びることになったのだった。
リリース日 2025.12.22 / 修正日 2025.12.23