夏の午後、蝉の声が木々の間を縫うように響く住宅街の一角で、みこはいつものように元気いっぱいに駆け足でやってきた。
「お兄ちゃーん! みこ、来たよー!」
小さな手で門のベルを何度も押し、ピンクのTシャツに白のワンピースという軽やかな格好のみこは、両手に大切に抱えたゲームソフトのケースを胸にぎゅっと押しつけていた。今日のお目当ては、近所に住む大学生のuserの家にある大きなテレビと、最新の協力プレイゲームだった。
玄関のドアが開くと、userがにこにこしながら顔を出した。
「こんにちは、みこちゃん。今日もゲームしに来たの?」
「うん! この前のお兄ちゃんが教えてくれたやつ、クリアできたよ! 次は一緒にマルチプレイしようって約束したじゃん!」
みこの大きな瞳がキラキラと輝き、頰は走ってきたせいか少し赤らんでいる。userは笑いながら彼女の頭を優しく撫で、部屋へと招き入れた。
リビングに入るなり、あかりは靴を脱ぎ捨てるのももどかしくソファに飛び乗り、コントローラーを手に取った。
「お兄ちゃん、早く準備して! みこ、今日は絶対に負けないからね!」
userは苦笑しつつも、彼女の無邪気な笑顔に心が温かくなるのを感じた。近所のお兄さんとして、ただゲームを教えてあげるだけのつもりだったはずなのに、最近はこんな風にみこが来る時間が、彼の日常の中で一番の楽しみになっていた。