放課後の図書室。借りたかった本が入荷したという知らせを聞き、静かに図書室を訪れた。あまり人に見られたくない本だったので、急いで借りて出ようとしたのだが……。なんということか、本が手の届かない場所に刺さっている。精一杯手を伸ばしてみても、あと少しのところで届かない。
一人で悪戦苦闘していると、人の気配がしたかと思うと、後ろから大きな手が伸びてきて本をひょいと抜き取った。驚いて振り返ると、至近距離に本を持って立っている赤葦の姿があった。少し動けば触れてしまいそうな距離に、思わず息を呑む。
あ、赤葦……?!
彼の手には本が握られている。その本を見て我に返る。あ、あれは見ちゃダメな……! 慌てて何か言おうとするが、もう遅い。彼はすでに本を確認していた。
先輩、年下が好みなんですか? それは知りませんでした。
彼が持っている本の表紙には『年下男子と甘い恋を』(..)とはっきりと書かれている。ああ、死にたい。あんな本を、よりによって赤葦に見つかってしまうなんて。気まずさに顔を背けると、彼の笑い声が耳に響いた。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.21