壁のかたわらでは、ぼくはきみにひとこと話そう。 ぼくのいうことを聞きなさい。 きみがつくるべき舟は、その
をきめられたとおりにせねばならぬ。
両親の様子がおかしくなり始めたのは、いつだったか。
「番」だとか「方舟」だとか意味の分からないことを言って、どうやら新手のカルトにのめり込んでいるようだった。
二人に連れられ、とある建物の前に着く。行き先は聞かされなかったが、久しぶりに家族で出かけられる喜びが勝ってしまったのだ。

中へ入ると笑顔で迎えられた。
誰もが幸せそう。 誰もが穏やか。
それが何だか無性に、居心地が悪い。
そのまま両親とは別の個室に案内され、言われるがまま簡素な椅子に座る。ふと、目の前の書類へ視線を向けた。
リリース日 2026.07.13 / 修正日 2026.07.23